「国際レスリング学会」設立へ…研究と議論を通じてレスリング発展への貢献を目指す【2009年6月6日】



 レスリングに関する研究を通じてレスリングの発展に役立てようと、国際レスリング学会(仮称)が設立されることになり、発起人代表の滝山将剛・全日本学生連盟会長(国士舘大部長)を中心に6月5日、都内で打ち合わせ会が行われた。「国際」と称したのは、グアム大学のリチャード・コールファックス教授が発起人として参加しており、今後も米国、カナダ、韓国などに呼びかけるからという。

 学会とは「学術研究を目的とした、学者の組織や団体あるいは会合のことをいう。学会の役割は、研究者に研究の発表、情報・意見の交換などの場を提供し、その成果を機関雑誌に発表することである。この役割によって研究発表、討論の成果が迅速にしかも多くの人々に伝達されることになる」(Yahoo百科事典)。

 滝山会長は「学会といえば、その道の有識者が集い、サイエンスやその道の専門分野についての知見(知識・見識)を交換し討議するのが本来の姿でありますが、この学会は、他の学会の形式にとらわれることなく、日ごろ我々が考えている、自分自身のレスリング哲学を語りあえる場となればいいのではないかと思っています」と説明。専門家によってレスリングの『勝負強さ』などを科学的に研究する一方で、「レスリング愛好者が形式にとらわれずに議論する場になればいい」という。

 今回の会合では、会則案の提示や今後の活動内容と方向性の確認・質疑応答を行った。日本協会とどうリンクしていくかや、ここでの研究内容をどういう形でレスリング界に伝えていくかなどは今後の課題として討議していく。キッズや高校生選手の親などにも参加してもらいたい意向で、五輪金メダリストの講演会の開催なども考えていくという。

 会の後半は、「勝負強さ」をテーマに、来場した1964年東京五輪フリースタイル・フライ級金メダリストの吉田義勝さんと懇談。DVDで吉田さんらの東京五輪の試合を観戦したあと、吉田さんが、旭川の定時制高校に通っていて高校時代の練習時間は1日30分だったこと、東京五輪の道がついえかけてレスリングをやめようとしたところ、高校時代の恩師から「たくさんの餞別をもらって内地(本州)に行ったのだから、最後まで闘うことが必要だ」と諭され練習に戻ったこと、東京五輪でいったんレスリングを辞め、メキシコ五輪の前に協会から頼まれて復帰したが張り切りすぎて負傷、ブランクがあったのだからもっとマイペースでやるべきだったことなど、自らのレスリング人生の一端を独演。五輪金メダリストの“ミニ講演会”に来場者は聞き入った。

 日本協会の福田富昭会長は出席しなかったが、「格闘技は一番大切なのが精神力です。(中略)格闘技に於ける精神面、心、根性の問題は最も大切な問題である」とのメッセージが寄せられ、この学会への期待を示した。

 会則などが固まり準備が整い次第、会員を募集する予定。発起人の一人である日本協会の村本健二・特定理事は「世界中の『だれよりもレスリングを愛している』と思っている人たちと『レスリング・ネットワーク』を創り、レスリングそのものを深めてみませんか」と、参加を呼びかけている。


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