ビデオチェック要求「チャレンジ」、傘下連盟の導入は?【2009年4月30日】



 国際レスリング連盟(FILA)が今年から実施するセコンドによるビデオチェック要求「チャレンジ」は、4月25・26日のJOC杯ジュニアオリンピック(神奈川・横浜文化体育館)の決勝戦で国内では初めて実施された(右写真=白板を掲げビデオチェックを要求するセコンド)。日本協会では明治乳業杯全日本選抜選手権などは全試合実施する方向だが、傘下連盟の導入はどうなっているか。

 最直近の大会となる5月20〜22日の東日本学生リーグ戦(東京・駒沢体育館)は、実施しないことを決めたという。東日本学生連盟の藤沢信雄会長(大東大職)は「従来と同じく、微妙な判定の場合は審判団のビデオチェックによって決定したい。その方が正確な判定が下せる」と説明する。日本協会から導入を進言された場合は「検討する」というが、現在はC級ライセンスの学生審判によって運営されており、人的な問題もあって「導入するには根本的な体制の整備が必要」と話す。

 一方、同23・24日に大阪・堺市初芝公園体育館で行われる西日本学生春季リーグ戦は導入の方向。西日本学生連盟の福田耕治審判員(大阪・同志社香里高教)は「国際レスリング連盟で決まったルールなら、取り入れるべきだ。大会前日の審判会議で決めたい」と言う。

 全日本学生選手権(インカレ)などを主催する全日本学生連盟は、滝山将剛会長(国士大教)が「インカレまでまだ時間がある。日本協会とも相談して決めたい」と話した。7月4・5日に全日本社会人選手権を開催する日本社会人連盟も、藤森安一事務局長が「日本協会と話し合って決めたい」と説明する。ただ、「国際大会の選考を兼ねているので、国際ルールでやるべきでは?」との意見。

 高体連専門部は多くの問題が浮上しそう。中根和広理事長(東京・日本工大駒場高教)は「基本的には導入したい。導入するべきだ」としているが、どこまでの範囲で導入するかで「簡単にはいきそうにない」と頭をかかえる。インターハイなどの全国大会でも、1回戦からの全試合に導入するべきかどうかの問題が出てくることのほか、各都道府県の大会や地区大会でどうするかとの問題が浮上してくるため。

 「ルールはひとつ」として、全国大会と地方大会で違うルールにはしたくないという。かといって、全都道府県に「チャレンジ」を導入するだけの人的な余裕があるかどうか。4月29日に行われた東京都の大会では実施しなかったという。「インターハイまでには決めたい」と話した。

 全国中学生連盟は、上誠一審判委員長(大阪・枚方一中教)が「(連盟の)会長らと相談し、検討したい」としながら、個人の意見としては「時間の問題もあり、中学生では導入しなくてもいいのでは?」。ただ、「日本協会の意向にも沿わなければならない。(日本協会の)斎藤修審判委員長とも話し合いたい」と言う。


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