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【特集】向田真優選手と乙黒圭祐選手が入校…JOCエリートアカデミー第3期生入校式【2010年4月6日】

(文・撮影=増渕由気子)
 

 平成22年度の日本オリンピック委員会(JOC)エリートアカデミー(JOA)入校式が5日、東京・味の素トレーニングセンターで行われた(右写真)。入校するのはレスリング2名、卓球4名、フェンシング3名の計9名。将来五輪で金メダルを取るために、中学〜高校の6年間、一貫したエリート教育を受ける。

 入校式には現在教育中のアカデミー1、2期生17名に加えて、3競技のコーチ陣やJOCの福田富昭副会長(日本レスリング協会会長)ら関係者がずらりと顔をそろえた。主催者や来賓のあいさつは、学業をおそろかにせず文武両道を期待する言葉が多かった。主催者あいさつを行った沢木啓祐JOC選手強化副本部長も「競技力の向上が第一目標ですが、知識の習得はいくらあっても困ることはない。また地域の人とのふれあいをとることが人間力につながる。その人間力が競技の向上になる」と話した。

 そのほかにも、「強くなれば何をしてもいいという勘違いだけはしないでください」という言葉も出て、競技、学業、生活面のすべてにおいて、お手本となるような選手に育つことを期待した。

■すべてはオリンピックで金メダルを取るために

 レスリングからは、男女1名ずつが入校し、JOAのレスリング在籍者は計8名となる。女子は三重・四日市ジュニア教室出身の向田真優選手、男子は東京・GOLD KID’S出身の乙黒圭祐選手の2人
(左写真)

 向田選手は現在中学1年生。全国少年少女大会で4年連続優勝し、昨年、小学女子の部の年間最優秀選手賞を受賞した。この経歴が日本協会の菅芳松事務局次長の目に留まったことがJOA入校のきっかけだ。向田選手は、「JOAに選ばれてうれしい。小学校5年生からJOAの制度を知って入りたいと思った。環境がいいし、ここで強くなりたい」と話し、念願かなった様子。

 日本協会からの推薦をもらったとき、親元を離れる条件に少し迷いも生じたが、両親は「自分で決めなさい」と向田の意思を尊重してくれたという。親元を離れることについては「少し悲しい」と本音も漏らした向田選手だが、すべては五輪で金メダルのため。「オリンピックを目指して頑張ります」と最後は笑顔で応えてくれた。

 3人目の男子生徒として入校する乙黒は、今春から中学2年生で、昨年の全国中学校選手権大会で2位の成績を持つ。都内の強豪キッズクラブ「GOLD KID'S」に所属していたが、自宅は山梨にあり、平日は山梨学院大に出向いて、大学生と練習を積んでいた。土日のみ高速バスに乗って都内のGOLD KID'Sで練習。山梨が自宅というハンデを努力によって克服してきた選手だ。

 山梨学院大での練習を見ていた日本協会の高田裕司専務理事からJOA入校を打診された。菅氏は「環境がそろえば、もっと強くなる選手だと思う」と期待を寄せる。3月28日から味の素トレセンでの生活をスタートさせている乙黒は「声がかかったときはうれしかった。今年は全中(全国中学生選手権)で優勝したい」と抱負。環境の変化についても「全然寂しくない」と男らしさを見せた。

■理想は20人のエリート選手が常駐、競い合って世界一を目指す

 JOAは卓球、フェンシングの第1、2期生を含めると、今期で総勢26人になった。入寮してすでに1週間が経ち、他競技のJOA選手たちともじゃれあうなど、すでに慣れているようだ。

 菅事務局次長は今後もJOA選手の増員を示唆。中高一貫教育のため、「理想は20人くらい」と常に6期の選手がいるようにするという。「入校した2人の選手にJOA入りを打診したところ、親御さんともども『最高の名誉』と喜んでくれた」そうで、今後も一流選手の獲得に手ごたえを感じた様子
(右写真=JOA選手と日本協会・福田会長ほかスタッフ)

 第1期の宮原優選手が、今年3月の「クリッパン女子国際大会」(スウェーデン)で3連覇するなど1、2期生の成長は著しい。「今のところ、JOAプログラムは順調です」と終始笑顔だった。


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