【特集】大学生の貫録見せつけた! 平野遥香が最大のライバル・田中亜里沙を下して優勝【2010年4月25日】
(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)
JOCジュニアオリンピックカップの女子51s級は、平野遥香(日大)が強敵・田中亜里沙(埼玉・埼玉栄)を破って優勝。7月20〜25日にハンガリーで行われる世界ジュニア選手権のキップを手に入れた。
平野にとって田中は、最大のライバル。初顔合わせをした中学時代から、勝ったり負けたりの繰り返しだった。
《平野遥香−田中亜里沙の対戦成績》
2005年全国中学生選手権 平野遥香○[フォール、1P1:29(3-4)]●田中亜里沙
2008年全日本女子選手権 田中亜里沙○[2−0(4-0,1-0)]●平野遥香
2009年全国高校女子選手権 平野遥香○[2−1(0-3,@L-1,3-1)]●田中亜里沙
2010年ジュニアクイーンズカップ 田中亜里沙○[2−0(1-0=2:28,3-1)]●平野遥香
対戦成績は五分だが、田中は高校1年生でクリッパン女子国際大会(スウェーデン)カデット52kg級で優勝するなど、常に目立ってきた存在。一方、平野はキッズあがりの選手にもかかわらず、昨年の全国女子選手権まで無冠。田中が出た前の年のクリッパン女子国際大会に参加しているが上位進出はならず、成績は対照的。競技スタイルも、気持ちやパワーで勝負する平野に対して、田中は組み手や技で勝負するタイプと正反対の2人だ。
昨年の高校女子選手権では、「気持ちの強さで」(本人談)田中を下して優勝した平野だったが、今月のジュニアクイーンズカップの準決勝では田中に黒星。日大に入学した直後、環境の変化などもあって練習に集中できずに試合に臨んだのが、結果に出てしまった。
■3週間前の号泣が一転して最大の笑顔へ
「また、負けてしまった…」と試合後は号泣。その後も、「試合の組み立て方が分からなくなって、辛かった」と精神的に落ち込んだ。昨年まで安部学院で主将だった平野は、人に頼ることを忘れて、一人で悩んでいた。
それを支えたのは、日大の先輩たち。「先輩たちが、スタイルを変えたほうがいいとかアドバイスをくれたのが大きかった。試合中も『気楽に楽しめ』と言われて、楽になりました。今回は、ちょっとだけ大人になれたから勝てたのかな」と勝利のポイントを挙げた。
だが、平野を一番強くしたのは、ライバルの存在。「田中選手は組み手が本当にうまくて…。田中選手のおかげで、自分も強くなれた」と強敵と切磋琢磨したことが自分の成長に繋がったようだ。
優勝時には最大の笑顔ともに豪快なガッツポーズを見せた平野(左写真)は、表彰式後も「まだ、実感がわかないです」と信じられない様子。それでも、「世界ジュニア選手権では優勝します」とキッパリと宣言した。