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【特集】「レスリング転向は間違っていなかった」…村田夏南子がアジア女王を撃破してJOC杯を制覇!【2010年4月日】

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)
 

 JOC杯ジュニアオリンピックの女子ジュニア59kg級で、レスリング歴1年でアジア女王を撃破という“シナリオ”の主役を演じたのは、昨年、JOCアカデミー(JWA)二期生として入校してきた村田夏南子(東京・安部学院高)だ。決勝で、昨年のアジア選手権で優勝し今大会の2連覇を狙った伊藤友莉香(環太平洋大)を2−0と破って優勝した。

 伊藤が大阪・吹田市民教室〜京都・網野高とエリートコース出身であるのに対し、村田は柔道の基礎はあるもののレスリング歴が1年ほどしかなく、絶対的に不利な状況。その中で、JWAの吉村祥子コーチは「柔道の技が生きる投げ技などの反復練習をかなりやらせました」と、村田のよさが最大限に生きる作戦を授けていた。メンタル部分も「相手はチャンピオンなので胸を借りるつもりで」と送り出した。

 その作戦はズバッとはまった。伊藤をつかまえては投げる。タックルを中心とした戦略が得意の伊藤を、別分野で翻ろうした。「自分のやってきたことを出せた。試合のほうが調子がよかった」と村田。これこそJOAマジック。最高の環境、コーチ陣をうたうJOAがその結果を出した瞬間だった。

■優勝の喜びに浸る間もなくユース五輪予選へ出陣

 JOAプログラムは、わずか1年でアジア・チャンピオンを破るほどに力をつけることが証明された。また、村田以外にも宮原優(東京・安部学院高)がカデット46s級で優勝。古市雅子もカデット60s級で2位に入った
(右写真=JWAの選手たち。中央がメダルを可k得した選手。左から古市、村田、宮原)

 吉村コーチは「勝って当たりまえといわれて、コーチ陣も選手もプレッシャーがあります」と吐露。そのプレッシャーをはねのけて、生徒たちが着実に成長する姿に、わずかに目を潤ませ、「今回は本当にみんなよく頑張りました」と選手たちをたたえた。

 今大会優勝した村田と宮原は、この優勝に浸っている余裕はない。27日には、ウズベキスタンで行われるユース五輪アジア予選に出発するからだ。

 村田と宮原は「ユース五輪で優勝したいです」と、同じ口調でキッパリと金メダル宣言。JWAの看板選手が日本代表の若きエースとして世界へ飛び出す。


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