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【特集】「目標は長谷川先輩」…青木成樹が青山学院大から3年ぶりの優勝【2010年4月26日】

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)
 

 JOC杯ジュニアオリンピックの男子ジュニアの部グレコローマン55s級は、青木成樹(青学大=写真)が優勝。最近の青学大の優勝選手は、同級の全日本チャンピオンでもある長谷川恒平(福一漁業)や2007年のグレコローマン50kg級で勝った梶雅晴(現山梨学院大)に続き、3年ぶりとなる。

 青木は静岡・飛龍高出身で、高校までは60s級の両スタイルで活躍。昨年の全国高校選抜選手権で準優勝、インターハイはベスト8ながらも、全国高校グレコローマン選手権と国体ではともに優勝と好成績を収めてきた。

 「60s級は本来の階級ではなかった」そうで、飛龍高のチーム事情により60s級に参戦していた部分もあった。今回は55s級に落として参戦。今まで減量なしで試合をしていたこともあり、「55s級に落とすのは苦しかった」と言いつつも、60s級で慣らしたパワーを駆使して勝ち進み、最大のヤマ場となった佐々木晋(拓大)の一戦も2−1で制した。

 決勝戦の大用真郷(専大)戦は、グラウンドが攻守ともに得意な青木にとって理想的な試合展開だった。スタンド戦の1分30秒をノーポイントに抑えると、赤コーナーの優先権を生かしてローリング地獄を決めてテクニカルフォール。第2ピリオドもグラウンド勝負に持ち込み、今度は鉄壁のディフェンスで無失点に抑えた。

 今大会は、青木の長所が生かせた試合展開だった。「スタンドが苦手で、グラウンドは得意」。フリースタイルでも、それは変わらない。「当面は両スタイルともにやっていく」と語る青木は、当然のことながら青学大の先輩、長谷川の背中を追っている。

 「同じ静岡出身の長谷川先輩のようになりたいです」。男子グレコローマン55kg級全日本王者の長谷川は、青学大時代にグレコローマンで全日本学生選手権2連覇、フリースタイルの全日本大学選手権で3連覇を達成するなど、両スタイルに渡って活躍した。

 ふだんは両スタイルをやって、世界ジュニア選手権ではグレコで結果を残したいという青木は、長谷川が成し遂げた大学1年でのJOC制覇をやってのけた。

 長谷川により近い存在になるために、「苦手なスタンドを克服し、1つ1つ(白星を)積み上げていくこと」を課題に挙げた青木。長谷川が育った環境で練習したいと念願の青学大に入学してきた青木が、グレコローマンのホープとして名乗りを挙げるか。


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