インターハイ開催地
石垣島のホテル

■ホテルパティーナ石垣島

■ベストイン石垣島

■ハイパーホテル石垣島

■ペンション島たいむ

■リゾートイン ラッソ石垣

  ▲一覧ページへ戻る

【特集】大学3年生をガッツレンチで沈めた! “霞ヶ浦の大将”の前川勝利がジュニア制覇【2010年4月27日】

(文=増渕由気子、撮影=保高幸子)
 

 JOC杯ジュニアオリンピックのジュニア男子グレコローマン120kg級は、茨城・霞ヶ浦高の前川勝利(右写真)が大学生を次々と破って初制覇した。成長期を迎える高校生にとって、学年の差がもろにパワーの差となる重量級において、高校生が勝つのは異例のことだ。

■霞ヶ浦高の選手が2年連続ジュニア部門で優勝

 昨年8月、インターハイV20を達成した霞ヶ浦高。最後の砦(とりで)となる120kg級のレギュラーメンバーに、1年生の時から任されていたのが前川だ。196cmの巨漢の体を生かして、スタンド戦での差し押しは負けることはない。今大会の準決勝では、大学3年で昨年の東日本学生秋季新人戦2位の谷田昇大(拓大)からローリングで2点を奪うなどしてストレートで撃破。

 決勝でも、山梨学院大の原口卓也がローリングを仕掛けたところをうまく乗ってフォール勝ちした
(左下写真)。大沢友博監督は「ヤマ場は準決勝でした。谷田は素晴らしい選手なので、ローリングを返して勝ったことはよくやった」と褒めちぎった。

 大学生が主戦場のジュニアの部で霞ヶ浦高の選手が優勝したのは、昨年の高校MVPの森下史崇(フリースタイル55kg級=現日体大)に続いてのこと。森下はその後、全日本選手権で2009年世界選手権代表の湯元進一(自衛隊)を破って3位になる偉業を成し遂げた。前川も、ジュニアを制した勢いで、今シーズンの活躍がさらに期待される。

 ジュニアの部を優勝すると、世界ジュニア選手権出場という“副賞”が与えられる。今大会は7月の下旬にハンガリーで行われる。その時期は毎年、高校最大のイベント、インターハイ(8月2日〜5日、沖縄・石垣島)とぶつかってしまう。昨年、森下はインターハイを優先して世界ジュニア選手権を見送り、7月上旬にフィリピンで行われたアジア・ジュニア選手権に出場した。

 昨年よりもインターハイとの時期がずれているとはいえ、大沢監督は今回も世界ジュニア選手権出場に関しては「本当に迷っています」と揺れる胸中を告白。今年の霞ヶ浦は重量級中心のチームのため、120kg級の前川は、大将として必要不可欠。6月のアジア・ジュニア選手権(中国)に挑戦させる可能性のほうが高そうだ。

■チームの大黒柱に任命されながら、ふがいない出発だった今シーズン

 もはや、高校に敵なしといった状況だが、前川の今シーズンのスタートは最悪なものだった。最上級生の大将としてデビューを飾った1月の関東選抜大会(神奈川)。前川はげっそりとやせ細っていた。「年末に盲腸が悪化して腹膜炎を起こしてしまって…。チームに迷惑をかけた」。

 マットに上がれたことだけでも奇跡で、チームの柱にはなれず、団体戦2回戦の埼玉・花咲徳栄戦では一つ下の山本康稀に0−8、0−7のテクニカルフォールで敗れる屈辱も味わった。必死に体調を整えたが、3月の全国高校選抜大会でも、「グラウンドはできない」状況だった。それでも、スタンド一本で勝負をかけなければならないハンディを克服して優勝を遂げた。

 まさかの大病から、全国高校選抜大会とJOC杯で連続優勝した前川を精神的に支えたのは、森下の存在だった。「森下先輩のようになりたいと思っていた。今大会、ジュニアの部で優勝して、その存在に追いつきたかった。8月のインターハイでも優勝します」。

 森下はインターハイ2連覇を狙ったが失敗している。「インターハイで優勝して、森下先輩の成績を追い越したい」と前川。霞ヶ浦のビッグボーイが、名前のとおりに“勝利”街道を走り出した。


  ▲一覧ページへ戻る