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【世界選手権代表決定選手】女子51kg級・堀内優(日大)【2010年5月2日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
 

 女子51s級は堀内優(日大)が本戦、プレーオフともに甲斐友梨(アイシン・エィ・ダブリュ)に勝利して念願の世界選手権代表の座を手に入れた(右写真=プレーオフに勝った堀内)

 “念願”というのは、1年前に遡る。世界選手権代表の座を手に入れながら、負傷のため辞退した経緯があるからだ。脱きゅう癖のある右肩に不安を抱えて出場するより、思い切って手術に踏みきろう、それが18歳の堀内の下した決断。若いうちに世界選手権という舞台を経験するのも大切だが、自分の夢はオリンピック出場とメダル獲得であるからだ。

 堀内の代役で出場した甲斐は世界選手権3位と結果を残し、全日本選手権でも優勝。今年1月のヤリギン国際大会(ロシア)でも優勝し、実績を積み重ねた。全日本選手権では階級を上げて出場してきた五輪銀メダリストの伊調千春に引導を渡した。51s級の女王の座を、甲斐は実力でもぎ取ったのである。

 そんな女王・甲斐に対して堀内は決勝戦できっちりテークダウンもタックルも奪った。第1ピリオド4−1、第2ピリオド1−0で制して優勝すると、プレーオフでも無失点で制して世界選手権代表の座を獲得した。

 昨年から今年初めにかけて、甲斐の活躍を見ながら、焦る気持ちが堀内に多少めばえてきたのは言うまでもない。「甲斐選手が世界選手権でメダルを獲った時は、私はまだ練習もできていない状況でした。でも、ケガを治すことのほうが今は大事だと自分に言い聞かせました。本格的な練習を再開したのは今年の1月からです」。

 今年は先月初めのジュニアクイーンズカップ、下旬のJOC杯ジュニアオリンピック(55kg級)でも優勝しており、この全日本選抜選手権は今年3冠目。しかし、堀内はこの3つのタイトルも、出場の決まった世界選手権も、「ステップ」と言い切ってみせた。「来年からは、55s級でオリンピックを目指します。ひとつ一つ勝っていって、吉田(沙保里)さんに勝つという気持ちを高めていきたいです」と、打倒吉田を宣言した。


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