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【世界選手権代表決定選手】女子67kg級・新海真美(アイシン・エィ・ダブリュ)【2010年5月3日】

(文=三次敏之、撮影=矢吹建夫)
 

 女子67s級は全日本チャンピオンの新海真美(アイシン・エイ・ダブリュ)が制し、2年ぶりの世界選手権行きのキップを手に入れた(右写真=2度目の世界選手権出場を決めた新海)

 新海は2008年に世界選手権出場の経験があるが、今回と前回では気持ちの入り方がまるっきり違う。「前回の世界選手権は繰り上げでの出場でしたが、今回は自ら勝ち取って得た権利ですから、何が何でも世界で勝ってきます」。譲ってもらった代表キップより、自分で手に入れた代表キップだから価値があるし、精神的にも高揚するのも当然だろう。

 決勝戦の相手は全日本選手権決勝と同様、飯島千晶(日大)。飯島は先月のジュニア・クイーンズカップで優勝して勢いをつけているが、新海は今年に入ってからロシアと中国への海外遠征を経験し、実績を積んでいた。その差は試合でも克明に表われたと言えるだろう。

 差し合いの攻防から新海がフェイントを仕かけたあたりから試合が動いた。「攻撃するレスリングが信条」の新海は、積極的に前に出る。タックルからのテークダウンは3ポイントとなった。再びテークダウンに成功し、第1ピリオドは4−0。第2ピリオドは「少し堅くなってしまって動けなかった」と、反省も込めて振り返ったが、飯島のバックに回って奪った1ポイントを守り切って優勝を決めた。

 「自分の負けパターンはミスによるもの」と自己分析もできている。「攻めるレスリング、どんなタイプにも対応できるレスリングの練習をしてきました」という新海。この日の決勝の第1ピリオドのように、自分から動き、自分からポイントを奪いにいくという試合運びが自分が理想としている試合スタイルだ。

 「初めて自分で権利を獲得した世界選手権だから、とにかく勝ってきます」。威勢の良い言葉はこの秋、現実となる−。


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