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【特集】伊調越えならず! 今の目標はアジア選手権でのV…山本聖子(スポーツ・ビズ)【2010年5月4日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
 

 2012ロンドン五輪で、“ママで金メダル”を目指して復帰してきた世界V4の山本聖子(スポーツ・ビズ)。階級を復帰前の59kg級から63s級にアップして挑んだ2度目の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)との対決は、フォール負けという最後で幕を閉じた(右写真:第1ピリオドは伊調と互角に闘った山本=青)

 昨年12月の全日本選手権で、山本は北京五輪後初の国内戦となった伊調を翻ろう。第1ピリオドを奪い、第3ピリオドも大接戦の末に1−2で惜敗。復帰後の五輪女王と大接戦を演じた。今大会は伊調との差を前回よりいかに埋めているかが焦点だった。

 初戦の高校選手との対戦は、ワンアクションで難なくフォール。準決勝で同級の現役世界チャンピオンの西牧未央(至学館大大学院)との対決も、減量調整に失敗していつもの元気がなかった西牧に1ポイントも奪われることなく、最後はエビで丸めてフォール勝ちを奪った。

■クリンチの攻撃権でポイントを奪えず!

 今年は世界選手権のみならず、アジア大会を控える節目の年。「まだ挑戦者ですから」と謙そんしていた山本だが、マットに上がった目は勝ちに行っていたことを物語っていた。第1ピリオドから積極的な動きで、自分のペースに持ち込もうとした。

 伊調に1度も入らせず、2分間を0−0でしのいでクリンチ勝負へ。ボールピックアップで攻撃権を手にし、絶好のチャンスだったが、ホイッスルと同時に腰を落とされた伊調に30秒間持ちこたえられてしまい、このピリオドを落としてしまった
(左写真=青が山本)

 第2ピリオド、意を決して両足タックルに入ったが、反応のいい伊調に切られてバックポイントで失点。その後、またさきから屈辱のフォール負けを喫してしまった。

 「悔しいです」と試合を振り勝った山本。「調整もうまくいった。過度の緊張もなかった」と話したが、いざ試合になると「足が動かなかった」と、フォール負けの内容にうなだれた。これで今年の世界選手権やアジア大会の派遣は絶望的。

 ただ、今月中旬にインドで行われるアジア選手権にエントリーされている。試合日程が詰まっているが、「とにかく優勝してきます」と、きっぱりと前を向いた。復帰し、試合出場を果たしてからまだ1年未満の山本。「まだまだ始まったばかりですから」と、ロンドン五輪への執念を燃やしていた。


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