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【特集】日大復活へ! 富山英明監督の教えを胸に70周年を飾れるか…東日本学生リーグ戦展望(2)【2010年5月15日】

(文・撮影=保高幸子)
 
  《一部リーグ組み分け》
 【A組】拓大、日体大、国士舘大、東洋大、専大、神奈川大、青山学院大、法大
 【B組】早大、山梨学院大、
日大、中大、大東大、明大、群馬大、東農大

 2003年の優勝のあと、東日本学生リーグ戦の優勝から遠のいている日大。しかし、今年の大会(5月18〜21日、東京・駒沢体育館)で“低迷期”を脱する可能性が高くなった。重量級を中心に選手がそろい、新入生の即戦力を合わせれば優勝は手の届くところとなった。創部70周年に合わせたかのように、学生界ナンバーワン復帰の準備は着々と進んでいる(右写真=7年ぶりの優勝を目指す日大選手)

■3勝3敗で120kg級勝負になったら、絶対に勝てる!

 日大の最大の“核兵器”と思われるのは、120kg級の相沢優人だ。専大の荒木田進謙と山梨学院大のボリス・ムジコフが卒業したことで、相沢は学生界では敵なしの存在になった。今年チームに加わった岡倫之(埼玉・花咲徳栄高卒=昨年国体など優勝)も控え、2人で日大の“瀬戸際の大黒柱”をになうことになった。

 相沢は「3勝3敗でボクにまわってくる可能性もありますから、最後の柱として絶対に負けません。岡は素質も度胸もありますから出場もあるでしょう。2人で一緒に頑張ります。」と宣言。2人はムードメーカーでもあり、ひょうきんさでもチームを盛り上げる。

■日大の予想されるメンバー
(数字は学年、右端は出身高)
55kg級 須藤 学 山形・山形商
60kg級 赤沢 岳 埼玉・花咲徳栄
66kg級 生天目達也 茨城・霞ヶ浦
74kg級 吉崎将大 富山・富山一
84kg級 細谷翔太朗 埼玉・花咲徳栄
96kg級 永田裕城 京都・網野
120kg級 相沢優人 宮城・仙台育英

 “真打ち”の前にマットに上がる永田裕城は、今月初めの明治乳業杯全日本選抜選手権で2位の実力者。準決勝では早大の重量級の大黒柱となる山口剛を破っている。新人の細谷翔太朗(埼玉・花咲徳栄高卒)は昨年の高校三冠王者。今年4月のJOC杯ジュニアオリンピックでも2位に入った実力者であり、2人の“タッグ”で、84kgと96kgで2勝を狙う。

 精鋭は重量級だけではない。55kgの須藤学主将は昨年の全日本大学選手権で優勝し、主将としての責任感も強い。富山英明監督は「腰は柔らかいしトリッキー。やられたか? と思うと、次の瞬間に返したりしますから最後まで分かりませんよ」と評価し、先陣を切るポイントゲッターとしての活躍が期待される。

 66kgの生天目達也と60kgの赤沢岳は、ともに故障あがりで万全とは言い難いが、生天目は2008年の東日本学生秋季新人戦で勝っており、赤沢はも高校時代にインターハイ王者に輝いた選手。地力は十分。74kgの吉崎将大、横山寛明とともに、軽中量級の意地を見せたいところだ。

■選手の心を支える「7ヶ条の心得」

 富山監督は2008年北京五輪後に全日本チームを離れ、学生たちの指導に専念できる環境となった。「70周年という区切りの年。頂点に上りたい。意気込みは人の30倍ありますよ!」と力強い
(左写真=選手を指導する富山監督)。

 同グループの最大のライバルと目されるのは早大。「選手がそろっている。最大のライバルでしょう。厳しい闘いになります」としっかり見据えるが、展望は暗くない。「戦力ではウチが劣っているので、早稲田には知恵を使って立ち向かうという姿勢でいく」と言う。

 学生には創部70周年という記念の年であることに加え、常日頃から肝に銘じさせている「言葉」があるという。

『勝負師の心得 ? 人生は想ったとおりになる。
    想ったとおりにならないのは、まだ想いが足らないのだ』

 ここから続く7か条の心得を、部員全員が暗記するほどの徹底ぶり。「勝負というのは何が起こるかわからないんですよ。命をかけて闘えばどうなるかわからない。そういうものです。この心得の言っていることは、そういうことですよ。選手たちをそこまでの気持ちにさせるのが監督の仕事です」

 その教えを受け、チームをまとめる須藤主将はこう答える。「主将になってから、自分が勝つことではなくチームワークを高めることを考えるようになりました。今はとても雰囲気が良く、一人一人が『勝つんだ』という気持ちを持っています」。4年生のレギュラー3人が、勝負師の心得を下級生たちに背中で示している。

■創部70周年を、リーグ優勝で飾れるか?

 全員が優勝という目標に向かって一丸となっている。「この仲間たちと一緒に頂点をとって、喜びを分かち合いたいです。そうして70周年という記念の年に監督に恩返ししたいという気持ちです。最終的には団体三冠王で胴上げ、というのが一番ですが、まずは目の前のリーグ戦にしっかり勝ちますよ」と須藤。

 富山監督率いる彼ら勝負師たちの知恵と想いが形になり、創部70周年という区切りの年を優勝で飾ることができるか
(右写真=2003年の優勝シーン。7年ぶりの再現なるか)


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