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【特集】順位は昨年と同じながらも内容の濃い4位…中大【2010年5月22日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
 

 昨年の全日本大学グレコローマン選手権84s級優勝の天野雅之と同74s級優勝の中井伸一の2枚看板が4年生としてチームを支え、インターハイ王者の桜井聡紀(八千代松陰)らが加入した中大(左写真)。ここ数年で一番の役者がそろった中で挑んだ東日本学生リーグ戦は、4勝3敗で終えてリーグ4位の成績だった。

 早大、日大、山梨学院大のトップ3には敗戦し、昨年と同じ順位。天野主将は「昨年より順位を上げるように練習を積んできたが、こういう結果になって残念だった」と複雑な心境をのぞかせた。だが、大学王者の天野主将が率いた中大の中身は、去年とは格段に違っていた。「チーム全員で高い目標を持って、試合に勝つと、どん欲にやってきた」と、あくまで目標を「優勝」の二文字に置き、試合の充実感は昨年以上のものを得たという。

 天野主将の活躍は目を見張る。第3日の山梨学院大戦では、全日本大学選手権(フリースタイル)で優勝している金沢勝利に勝ち、最終戦の日大戦では、先日の全日本選抜選手権84s級準優勝の永田裕城相手に白星を挙げた
(右写真)

 天野を助けたのはチームの雰囲気だ。チーム全員が天野&中井のやる気にとことんつきいてきたのだ。天野主将は「55s級の大谷、74s級の森らが頑張ってくれた」と後輩たちにも合格点。今大会を足がかりに、9月の全日本学生王座決定戦でも「優勝」を合言葉に、上位進出を狙うという。

 リーグ戦前は一つの懸念もあった。天野と中井が看板といえども、2人の実績はグレコローマンの成績。リーグ戦はフリースタイルのため、二枚看板が力を発揮できるかが注目点だった、しかし天野は全試合に出場して7戦7勝。中井も3勝2敗と勝ち越した。「インカレも両方やるつもり。グレコローマンの選手になったつもりはありません」と、2人とも声をそろえた。

 今シーズンは両スタイルの頂点を狙いに行く中大のWエース。伸びしろ十分な二人は、ともに180cm以上の身長に重ねて、まさに建設途中のスカイツリーのようだ。学生中心で強化を計る中大で二人の実力はどこまで伸びるか―。


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