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【特集】西日本の雄、立命館大が王座復帰、再び常勝ロードを走れるか? 【2010年5月24日】

(文・撮影=樋口郁夫)
 
階級 立命館大 試合結果 中京学院大
74kg級 森原大紀 2−0(1-0,6-0)   大島佑介
60kg級 長野真也 2−0(2-0,3-0)   高橋 啓
120kg級 脇本恭平 2−0(3-0,4-3)   大石 亮
96kg級 松崎太一 2−0(1-0,3-0)   横井健人
66kg級 角谷侑亮 2−0(TF6-0,6-1)   大上一紀
84kg級 近藤賢介 2−0(4-3,1-0)   加藤敬典
55kg級 矢野幸次郎   2−0(6-2,2-1) 桑木 黎

 昨年秋季の大会で徳山大に敗れ、3位となって連覇が「6」で途切れた立命館大が、1季で西日本学生リーグの王者に返り咲いた。決勝は、A組の激戦をタッチの差で勝ち上がった中京学院大が相手。接戦も予想されたが、スタートから6連勝し、あっさりと王者復帰を果たした(右写真=優勝旗などを手にする立命館選手)

 しかし、優勝が決まった時、立命館大のコーチングスタッフは極めて平静だった。団体戦の優勝によく見られるようなチームを上げた熱狂はなく、冷静に受け止めた。ストレートで4勝を取る圧勝だったこともあるが、西日本の王者の自負するチームとしての誇りがそうさせたのか。

 伊藤敦監督は「優勝できるとは思っていなかった。(予選で)徳山大に勝てるとは思っていなかった」と話し、課題だらけのチームだという。試合後の円陣を組んでのミーティングでも厳しい言葉が続いたようで
(左写真)、優勝チームのそれとは思えない雰囲気。手放しの喜びといった内容の優勝ではなかった。

■優勝したものの、秋季へ向けて課題は多い

 決勝のスコア6−1だけを見れば、秋季での連続優勝も十分に可能と思えるが、伊藤監督は「どんでもない」と話す。「試合の途中で気を抜く選手が多い。最後の1秒まで攻める気持ちを持ち続けなければならない」と手厳しい。優勝はしたものの、課題の多さが喜びを押さえたようだ。

 それでも「4年生が頑張ってくれました」と話した時、伊藤監督の顔に笑みが浮かんだ。「予選を通じて、試合順がよかった(注・西日本は軽量級からやるのではなく、抽選によって試合順が決まる)。いい試合の流れがつくれた」と、団体戦に必要な勢いがつくれたと言う。

 4年生発奮の要因は「選手に聞いてください」とのことだが、昨秋、22季ぶりに決勝進出を逃した悔しさであることは、容易に想像できる。この奮起が秋季も続けば、連続優勝も可能だ。

■有望選手をスカウトするためにも、勝ち続けなければならない

 しかし、来年以降に向けてマットの上以外の課題がある。これまで強豪選手の“供給源”だった付属高校の立命館宇治高は、現在部員が「0」。当然、他校からのスカウトを考えていかねばならない。「勝たないと、選手は来てくれない。何としても勝ち続けなければ」という伊藤監督の言葉は、まごうことない本心だろう
(右写真=セコンドの伊藤監督)

 数々の課題を抱えながら、“定位置”に返り咲いた西日本の王者。再び常勝街道を突き進むためにも、秋季も4年生が最後の意地を見せねばなるまい。


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