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【特集】五輪中間年のビッグイベント「広州アジア大会」まで、あと約半年【2010年5月26日】

 


 11月12日(金)〜27日(土)に中国第3の都市、広州で行われる第16回アジア競技大会まで、あと約半年となった。史上最多の42競技476種目(北京五輪は28競技302種目)に、45ヶ国から五輪以上の1万2000人が参加する予定で、今回は五輪をしのぐ闘いが繰り広げられる総合競技大会となった。

 レスリング競技は11月21日(日)から26日(金)に男子14階級、女子4階級で実施される。日本は今月初めの全日本選抜選手権の優勝選手を中心に選手を選考し、派遣する予定(注・現段階では未定)。国よっては9月の世界選手権(ロシア・モスクワ)に2番手を派遣し、ベストメンバーをアジア大会に専念させてくるなど、今年最大の大会と位置づけている。2年後のロンドン五輪に向けた重要な大会となる
(左写真=2007年の広州・世界選手権でのアトラクション)

 日本は、1998年のバンコク大会(男子のみ)で金メダル獲得を逃したものの、2002年釜山(韓国)大会でグレコローマン84kg級の松本慎吾が金メダルを取って伝統を復活。同大会から採用された女子では、出場した3階級中、55kg級の吉田沙保里と72kg級の浜口京子が金メダルを取った。

 2006年ドーハ大会では、男子ではグレコローマン60kg級の笹本睦が優勝
(右写真)、女子は48kg級・伊調千春、55kg級・吉田沙保里、63kg級・伊調馨の3選手がメーンポールに日の丸を揚げた。

 今大会は、男子ではグレコローマンで金メダル獲得の伝統を守り、男子フリースタイルで金メダル復活が望まれる。2007年から今年の4度のアジア選手権では、2007年(フリー55kg級・齋藤将士)、2008年(フリー55kg級・松永共広、グレコ84kg級・松本慎吾)、2009年(グレコ55kg級・長谷川恒平)、2010年(フリー84kg級・湯元進一)と、いずれも金メダルを取っている。この勢いを途切れさせてはなるまい。

 今月のアジア選手権で7階級中金1個に終わった女子は、中国、モンゴル、北朝鮮などの躍進と、ロシアから国籍を変更して出場する選手も予想され、これまで以上に厳しい闘いが予想される。しかし、アジアで勝てなければ、ロンドン五輪で勝てる可能性は低くなる。全階級金メダルが目標となるだろう。




■大会日程

11月21日(日) 男子グレコローマン55・60・66kg級
   22日(月) 男子グレコローマン74・84・96kg級
   23日(火) 男子グレコローマン120kg級、男子フリースタイル55・60kg級
   24日(水) 男子フリースタイル66・74・84kg級
   25日(木) 男子フリースタイル96・120kg級、女子48kg級
   26日(金) 女子55・63・72kg級

 ※いずれも現地時間(日本から1時間遅れ)の午前9時〜午後1時が予選、午後4時〜5時半が敗者復活戦、午後5時半〜7時45分がファイナル




■場所

 レスリングが行われるのは、広州の南西部、広州大学タウンと呼ばれる地域にある「Huagong Gymnasum」。大会の前半に柔道が行われる。観客席は3544席。(右写真=
広州アジア大会公式ホームページより

 各競技の会場は広州市の広域にわたって分散している。同地区では、他にバレーボール、ハンドボール、フェンシング、ラグビー、クリケットなどが行われる。 




■各スタイル展望

 《男子フリースタイル》


 イランが前回のドーハ大会で4階級を制覇。昨年のアジア選手権でも66〜120kg級の5階級で勝ち、今年のアジア選手権でも、アジア大会に向けて戦力を落としたと思われる中で3階級を制覇している。今回もイランの旋風が吹き荒れそう。

 このイランを韓国、カザフスタン、ウズベキスタン、モンゴル、日本などが追う展開。韓国とウズベキスタンはやや落ちているか。

 昨年の世界選手権では55kg級で北朝鮮が優勝。インドも66kg級で北京五輪3位の選手が現役を続けている。どの階級も、イランを含めて4、5選手は優勝候補がいると考えられる。

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 《男子グレコローマン》

 韓国とカザフスタンが争っていたのが、ここ10数年のアジアの勢力図だったが、昨年のアジア選手権ではイランが4階級で優勝。昨年の世界選手権でも「金1・銅3」を取り、今年のアジア選手権でも2階級で勝つなど、勢力を伸ばしている。「3強」の争いとなるか。

 55kg級のハミド・スーリアン(イラン=
左写真)は、2005〜07・09年の世界チャンピオン。前回のこの大会は出場していないが、今回はどうか。

 中国が前回大会で優勝選手を輩出し、昨年と今年のアジア選手権でも1階級ずつ勝っている。日本とともに、どこまで「3強」を崩せるか。

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 《女子》

 実施された過去2度の大会では、日本がともに過半数の階級で優勝してきた。今年のアジア選手権では1階級優勝に終わり、4階級制覇の中国の後塵を拝してきたが、ベストメンバーで臨めば、4階級(48・55・63・72kg級)での闘いにおいては、まだ日本がトップだろう。

 他に、モンゴル、カザフスタン、韓国、北朝鮮が台頭している。特にカザフスタンはロシアから国籍を変えて出てくる選手も予想され、油断できない闘いとなりそう。




■日本選手団

 日本オリンピック委員会(JOC)が派遣する選手数は、現段階で男子410選手、女子329選手の計739選手(役員人事で内紛してるクレー射撃の選手が加わる可能性あり)。役員を加えた選手団総数は約1100人となり、これまで最多だった1994年広島大会の1017人を上回る規模となる。

 他競技では、体操の男子が直前になる世界選手権に専念で、こちらの大会には参加しないことが伝えられているが、その他は、水泳で五輪V2の北島康介選手らトップ選手が参加する見込み。選手団長は市原則之・JOC専務理事(日本ハンドボール協会副会長)。




■過去の大会結果

 最近の大会の日本の成績は下記の通り。

《男子フリースタイル》
場所 金メダル獲得選手(数字は階級)
1990年 北京(中国) 安達巧(62)
1994年 東広島市 和田貴広(62)
1998年 バンコク(タイ)  
2002年 釜山(韓国)  
2006年 ドーハ(カタール)  


《男子グレコローマン》
場所 金メダル獲得選手(数字は階級)
1990年 北京(中国) 西口茂樹(62)
1994年 東広島市  
1998年 バンコク(タイ)  
2002年 釜山(韓国) 松本慎吾(84)
2006年 ドーハ(カタール) 笹本睦(60)


《女 子》
場所 金メダル獲得選手(数字は階級)
2002年 釜山(韓国) 吉田沙保里(55)、浜口京子(72)
2006年 ドーハ(カタール) 伊調千春(48)、吉田沙保里(55)、伊調馨(63)



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