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男子全日本チームが今年度初の合宿スタート【2010年5月29日】


 男子両スタイルの全日本チームが5月28日、東京・味の素トレーニングセンターで世界選手権(9月、ロシア・モスクワ)の代表決定後の初の合宿をスタート。アジア・ジュニア選手権(6月、中国・黄山)、世界ジュニア選手権(7月、ハンガリー・ブダペスト)、世界学生選手権(10月、イタリア・トリノ)の代表選手も加わり、総勢70選手の合宿となった(右写真)。6月2日まで行われる。

 佐藤満強化委員長(専大教)は「今年の世界選手権の代表は決まったが、はずれた選手はオリンピックが目標のはず」と、日本代表権を逃した選手へ奮起を注文。今月中旬のアジア選手権(インド・ニューデリー)は、フリースタイルで前年以上にメダルを取った半面、グレコローマンでは昨年の成績を下回った。「反省をもとに、課題を見つけて練習に打ち込んでほしい」と話した。

 ジュニアと学生の日本代表選手の中には、初めて味の素トレセンで合宿する選手もいる。佐藤強化委員長は「マットの上だけが練習ではない。疲れをとることも練習。休養をしっかりとるとともに、ストレッチ、栄養摂取、ジャグジー風呂の活用などで疲れの取り方を学んでほしい。24時間練習だ」と、練習と休養のメリハリを要望した。

■アジア選手権での光明と反省をもとにチームを建て直し

 アジア選手権では、新チームになってからなかなか結果を出せなかったフリースタイル84、96kg級、グレコローマン84kg級でメダルを獲得。グレコローマン120kg級でも前回のアジア大会王者を破るなど、重量級の健闘が光った。重量級を担当してきた小平清貴コーチ(警視庁)は「少しでも成果を出せたことはうれしい。世界選手権とアジア大会でのメダル獲得に向けて光が見えた」と、強化の方向性が間違っていなかったことを実感した様子。

 しかし、「これで一息ではない。ここから、さらに強くなるための努力をしなければならない。階段を一段上がったことは事実だが、オリンピックのレベルはもうひとつ上。満足することなく、新たなスタートを切りたい」と気合を入れた
(左写真=重量級選手と練習する小平コーチ)

 一方、銀メダル1個に終わったグレコローマンの伊藤広道コーチ(自衛隊監督)は「(スタンドで)アプローチしても、技に結びつかなかった。構え、組み手、プレッシャーのかけ方など基本をしっかりやり直す必要がある」と今後の再生計画を説明した。

 それ以上に、出場した選手の勝利への意識の甘さが不振の原因と分析した。「明治乳業杯から10日ちょっとの間隔で大会があり、減量面で厳しかったのは分かるが、そんなことを言い訳にはしてはならない。気温が予想以上に高かったが、どの国も同じ条件。たくましさが足らなかったのが敗因」と厳しく話した。「語弊があるかもしれないが、こんな意識ではダメだということを痛感させるには、いい惨敗だった」と話し、次の闘いへ向けての巻き返しを誓った。

 ジュニアと学生の日本代表チームの責任者の和田貴広コーチ(国士舘大職)は「シニアの全日本チームの練習や技を体感してもらいたい。シニアのトップ選手から1ポイントでも多く取れるよう頑張ってほしい」と、合同合宿の狙いを説明。アジア・ジュニア選手権は出発まであと10日ほどだが、「調整の合宿ではない。強化の合宿だ」と念押しした。

 10月に大会のある学生チームは、時間があるので全員が集まっての合宿を何度もやって強化したいところだが、授業もあるので、そういうわけにはいかない。和田コーチは「合宿で学んだことを各所属でしっかりやってほしい。松本篤史(フリースタイル84kg級)、小田裕之(同60kg級)という世界選手権の代表もいる。チームを引っ張ってくれると思う」と、シニアの日本代表チームと比べてもそん色のない学生チームの踏ん張りに期待した。

アジア選手権金メダルの湯元進一(自衛隊)。心は来年の世界選手権? グレコローマン重量級の意地を見せた斎川哲克(両毛ヤクルト販売)。チームのエースとなれるか。 フリースタイル66kg級のライバル、米満達弘(右=自衛隊)と小島豪臣(K-POWERS)が壮絶練習。


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