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【特集】全国中学生選手権3連覇の偉業に王手! 藤波勇飛(三重・西朝明)【2010年6月14日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)
 


 全国中学生選手権の男子42s級は昨年、1年生で38s級を制した藤波勇飛(三重・西朝明=左写真)が優勝。2階級に渡って2連覇を達成した。これで、北京五輪銀の松永共広(現ALSOK綜合警備保障)、2006・09年世界代表の松本真也(現警視庁)、今年の世界代表の小田裕之(現国士舘大)に続く男子4人目の大会3連覇の夢に大きく前進した。

 決勝戦は昨年と同じ顔合わせで、今季からJOCアカデミーに入校した乙黒圭祐(東京・稲付)だった。開始早々、タックルでテークダウン。そのままニアフォールに持ち込んで、最後はエビで丸めてフォール。わずか29秒の早技で勝負を決めた。

 監督で父の藤波俊一監督は、「去年は2−1と競った試合。全体的にやっと勝った感じだったが、今回は白黒はっきりさせる試合ができた。アカデミーの選手とここまで差がつくとは」と、完勝したことを満足そうに話した。

 藤波にとって、乙黒はレスリングの原点になる選手。小学校2年でレスリングを始め、最初の対決はテクニカルフォールで負けた。その後、何度も負けを経験したが、努力を惜しまずに差を埋めていった。小学校後半になると競り合って勝てるようになり、今回はフォールで鮮やかに勝利。優勝した直後は両手を挙げてガッツポーズ。「うれしかった」と本人も会心の出来だった。

 1年生チャンピオンは素質を持っていないとできない、と言われている。2連覇も然りだ。藤波監督が「1年でチャンピオンになって自信が出たようだ。でも、それにおごらずよく努力している」と話すように、トップとしての自覚を持って、トレーニングを積んできた。親子だからこそ、藤波監督は厳しく接した。「昔はよく、見せしめに怒ったりしたんです。でも、最近は怒るようなことをしなくなった」。その瞬間だけ、父親の顔を見せた
(右写真=藤波勇飛と父・俊一さん)

 次はいよいよエリートへの道が“保証”されている3連覇への挑戦だ。過去に成し遂げた選手たちは、全員シニアでトップになり、世界選手権への出場を決めている。「来年が楽しみ」と父。藤波本人も「自信があります」とキッパリ。男子4人目の三連覇なるか―。



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