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【特集】ビーチVから自衛隊へ! 混戦階級でトップを目指す元柔道選手…女子59kg級・齊藤貴子(自衛隊)【2010年7月12日】

(文=樋口郁夫)
 

 大学卒業後に柔道からレスリングに転向し、昨年、世界選手権出場を果たしたのが女子72kg級の佐野明日香(自衛隊=自衛隊でも数年間、柔道をやっていた)。負傷の悪化により、残念ながら昨年限りでマットを去ったが、自衛隊にもう一人、ほぼ同じコースを歩もうとしている選手がいる。

 59kg級の齊藤貴子
(右写真)。拓大まで柔道をやっていた。当時からレスリングにも関心があり、レスリング部の朝練習に参加させてもらったこともある。4年生の時にビーチレスリングに出場して優勝(左下写真=赤が齊藤。相手はプロ格闘家の藤井恵選手)。当時の自衛隊の宮原厚次監督の目にとまり、声をかけてもらったのがきっかけでレスリングの道へ。1年間の集合教育を経て、2007年4月にレスリング班に入ることができた。

 キャリア3年を越えた今年、“第2の世界選手権”とも言われるゴールデンGP決勝大会(7月17日、アゼルバイジャン・バクー)への出場権を獲得。世界の強豪を相手につちかってきた実力を試すところまできた。「日本代表として背負うものが大きいので緊張しています。いろんな人のサポートのおかげで出させてもらうわけで、下手な試合はできません。評価されるだけの内容のある試合をやってきたい」と、気持ちが高まっている。

 同大会に出場する同僚の工藤佳代子(63kg級)が、山本聖子(スポーツビズ)が取った出場権を譲ってもらっての出場であるのに対し、齊藤は3月の予選大会「クリッパン女子国際大会」で2位となり、自らの力で勝ち取った出場資格だ。「だからこそ、大事にしたい」と話し、上位入賞への気持ちは強い。

■今年3月、中高生の遠征に志願して参加

 レスリングのスタートは、佐野明日香さんの場合と同じで、「体の線がはっきり出てしまうレスリングのシングレットに抵抗があった」。技術的には、同じ組み技格闘技でも技のかけ方や防ぎ方が微妙に違うため、戸惑うことが多かったという。スピード感も違うため、今でもレスリング流のスピードには慣れ切っていない。

 柔道は一瞬にして投げ技で勝負が決まることが多く、「勝ちたい」という気持ちを強く持っていても、やられてしまうこともあるという。レスリングも一瞬でフォールに持ち込まれる場合もあるが、投げられただけでは負けにはならない。その分、「何よりも、負けないという気持ちを強く持ち続けることが必要」という違いも感じた。

 それらの違いを乗り越え、実力は徐々にアップ。正田絢子(京都・網野高教)、山名慧(アイシン・エィ・ダブリュ)といった日本代表になっている選手の壁はまだ破っていないものの、5月の全日本選抜選手権では、最初の対戦でフォール負けし3戦3敗の中田絵理子(フォンテーヌ=2007年学生チャンピオン)に初白星。「力が伸びている。やっていけるかな」という手ごたえを感じることができた
(右写真=6月末の菅平合宿で正田と闘う齊藤)

 もっとも、2008年秋には気持ちが上向いて世界に目が向いていた。全日本社会人選手権優勝のご褒美として得たNYACホリデー・オープン国際大会(米国)の出場で、ジャパンジャージを着て闘う喜びを感じ、「もっと(国際大会を)やってみたくなった」と言う。

 2009年は国際大会の機会がなかったため、今年3月、中高生選手中心の遠征である「クリッパン女子国際大会」に、シニア選手でただ一人志願して参加。ロシア選手や2007年世界選手権の米国代表選手を破るなどして見事に銀メダルを獲得し、ゴールデンGP決勝大会への出場権を獲得できた。

 若手育成のために毎年実施しているこの遠征に、26歳の選手の参加は、おそらく史上最年長ではないか。中学生、高校生の間に1人だけ入って遠征に参加するのは、かなりの勇気が必要なこと。「緊張しましたね」と笑う。

■当面の目標は、59kg級の世界チャンピオン

 しかし「皆さん、気を遣ってくれて、いい遠征ができました」と言う。シニア1人だけ成績が悪かったらカッコつかなかっただけに、「勝つことができてよかった」と、果敢に挑んだだけの結果は出した。大会後は、地元選手ほかとの合同合宿に参加した。

 そこで学んだことは、外国選手の体力の強さのほか、「返し技をかなり使ってきて、うまい。タックルに入れても、そこから返されてしまう」ということ。日本は返し技をよしとしない風潮があり、国内での大会や練習では経験できないこと。志願参加した収穫は大きかった。

 こうした経験をもとに、クリッパン女子国際大会よりランクの上のゴールデンGP決勝大会に挑む。「横に動きながらフェイントを使っての攻撃」や「タックルに入ったあと、返されない身のこなし」などが課題。また、クリッパンの決勝で敗れた2005年世界2位のマリアンナ・サスティン(ハンガリー)ら出場が予想される選手のビデオテープを見て、研究を積んでいる
(左写真=全日本合宿での齊藤)

 59kg級というのは、言うまでもなくオリンピックでは実施されない階級。ロンドン五輪を2年後に控えた今、どの選手も今後の進路に迷う時期だが、齊藤は「世界チャンピオンになることが目標ですから」と、今は63kg級へのアップは全く考えていない。

 5月の全日本選抜選手権では、同僚の島田佳代子が下馬評を覆して優勝。新たな歴史を築いた。そのサクセスストーリーは刺激になるだろうし、毎日、日本一の選手と練習できる環境になった。その大会で島田とは、ピリオドスコア0−2ながら、ポイントは0−1、0−1。もう日本一の選手とも大差はない。ゴールデンGP決勝大会を機に、飛躍の年にしたいところだ。



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