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【インターハイ展望】茨城・霞ヶ浦のV21なるか? 個人戦の注目は高橋侑希(三重・いなべ総合)【2010年6月日】

(文=増渕由気子)



 県主催となる最後のインターハイ(注=来年以降は広域開催で、北東北開催。レスリングは岩手県宮古市)が8月2〜5日に沖縄・石垣島総合体育館で開幕する。学校対抗戦の見どころは、もちろん3連覇、計21度目の優勝を狙う霞ヶ浦(茨城)の活躍。

 昨年、春夏ともに軽量級を軸にしてレベルの差を見せ付け優勝した霞ヶ浦だが、今年も1月の関東大会、3月の全国高校選抜選手権大会
(右写真)、6月の関東選抜大会ともに優勝した。

 大沢友博監督は「インターハイで勝つことは厳しい状況」と強調してきたが、大会を直前にして、「やることは、やってきた。春からどれくらい(選手たちが)変わってきたか楽しみです」とキッパリ。またもや、“大沢マジック”なるか。

 7月の世界ジュニア選手権(ハンガリー)男子グレコローマン120s級代表の前川勝利
(左下写真)を大将に、今年の霞ヶ浦は重量級に定評がある。軽量級陣がどこまで成長しているかが、V21のポイントとなるだろう。

 霞ヶ浦の最大のライバルはどこか―。霞ヶ浦と反対に軽量級に強豪をそろえる飛龍(静岡)が最右翼か。

 全国高校選抜大会の学校対抗戦2位。個人戦でも60s級の桑原諒と66s級の川村健太が銀メダルを獲得。50s級の山ア拓馬も学校対抗戦で霞ヶ浦の小宮佑介にフォール勝ちしていることから、あと一つの勝利を計算できれば、十分に勝機はある。

 霞ヶ浦にとって「一番近くて最大のライバル」の花咲徳栄(埼玉)は今年も健在。今季の各大会は、霞ヶ浦と決勝戦以外で対戦し、いずれも敗れているが、多くの関係者が「事実上の決勝戦だった」と口をそろえるほど力はある。インターハイでは霞ヶ浦と別ブロック。今季初の決勝の舞台での対戦で、霞ヶ浦を撃破できるか。

 地元の沖縄からは、浦添工と八重山の2校が出場する。浦添工は全国高校選抜大会で2位の飛龍に3−4で惜敗し、ベスト8の結果を残した。6月の九州大会では、インターハイの会場でもある石垣島総合体育館で見事に初優勝。勢いに乗っている。屋比久保監督は「石垣島には29日に入りました。けが人もなく、準備は整っています。準々決勝を勝ち抜いて、(本命の)霞ヶ浦に挑戦したいです」と目標を掲げた。地元で錦を飾れるか―。

■個人戦は55kg級の高橋侑希(三重・いなべ総合)に注目

 昨年の大会は1年生王者が2人誕生。今年3月の全国高校選抜大会では、3人の1年生チャンピオン(新2年生)が誕生するなど、今年は、個人戦も楽しみな選手が多い。

 最大の注目は55s級の高橋侑希(三重・いなべ総合=右写真)となるだろう。昨年のインターハイと今年の選抜で王者になり、4月のJOC杯ジュニアオリンピックでも優勝。今月行われるユース五輪(シンガポール=レスリングは15〜17日)の男子フリースタイル54kg級日本代表にも内定している。

 7月には東京の大学へ出げいこして強化してきた。55s級は高橋以外にも“A級”の選手がゴロゴロいる状況だが、高橋の力が安定している状況。不安があるとすれば、3月から試合続きで、その疲れがあるかもしれないこと。インターハイが終わればユース五輪とビッグ大会が続く。インターハイに集中しきれるかどうかも、連覇へのカギだ。


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