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【特集】3連覇に王手! 50s級の山崎達哉(東京・自由ヶ丘)、55s級の高橋侑希(三重・いなべ総合)【2010年8月7日】

(文・撮影=池田安佑美)
 


 昨年のインターハイで、すい星のごとく現れた50s級の山崎達哉(東京・自由ヶ丘学園)と55s級の高橋侑希(三重・いなべ総合)。ともに1年生でインターハイ王者に輝き、今年3月の全国高校選抜大会(センバツ)も制した。優勝候補最右翼で臨んだ沖縄インターハイも、両選手とも順調に勝ち抜いて2連覇を達成した。

 山崎は1ピリオドも落とさず優勝。内容が評価されて2年生ながら大会MVPにも選ばれた。高校の集大成となる来年のインターハイは、3連覇の偉業に挑む。

高橋と藤波俊一監督(右) 山崎と古里光弘監督(右)、奥山恵二コーチ(左)

■カウンター恐れない攻撃精神! 難攻不落の“高橋城

 高橋以外にも“A級選手”がひしめく今年の55s級。今大会、最大のダークホースとなったのは、昨年50s級2位の太田忍(山口・柳井学園)だ。インターハイ予選から55s級に階級を変更。小柄ながら、パワー、そして負けん気はピカイチ。高橋と太田の対戦は、くしくも3回戦で実現した。

 高橋は大会前、都内の大学で最終調整を行ったが、そこでまさかの右足首ねんざ。「足首の影響はない」と話したが、太田に第1ピリオドを2−6と奪われてしまうスタート。だが、高橋の勝負勘はさえていた。第2ピリオドを1−0で奪い返すと、第3ピリオドも1点リードで後半へ。

ここで守りに入るかとも思われたが、高橋は手をゆるめない。終盤に両足タックルで太田の懐にもぐりこんだ。太田はバックステップで反応して、カウンターでバックを奪おうとする。そのままタイムアップとなったが、太田のカウンターが成功していたら、ラストポイントで負けていた。

 無理な攻撃が命取りとなる場面でも、高橋は最後まで攻める姿勢をくずさなかった。「逃げて終わるのは嫌」とキッパリ話すほど、試合に、そして勝負に勝つこだわりを見せた
(左写真=太田と闘う高橋)

 これで、今季は春のセンバツ、JOC杯ジュニアオリンピック、ユース五輪予選、インターハイと無敗。「大会MVPが山崎君でちょっと悔しいです」と苦笑した高橋は、2週間後に日本代表としてユース五輪(8月15日〜17日、シンガポール)での舞台が待っている。

 過酷な連戦になるが「疲れは大丈夫。絶対優勝します」と声高らかに宣言した
(左写真=決勝で闘う高橋)

■大会MVPの山崎 「うれしい。来年は55s級で優勝したい」

 2年連続50s級で優勝した山崎は安堵の表情だった。成長期であり、減量も以前よりキツくなってきた。最大のライバルだった太田が階級変更をしたことで(前述)、ぶっちぎりの優勝が予想されたが、古里光弘監督が「調子があまりよくない」と話すように、テクニカルフォールの連発とはいかず、堅実に白星を重ねていく姿が見られた。

 決勝戦は、北京五輪最終予選代表の高谷惣亮(拓大)の弟、高谷大地(京都・網野)が相手。「(相手は)1年生だったから、プレッシャーがあった」と、年下相手に「勝たなくては」という気持ちが先行してしまった。しかし、第2ピリオドで1点を失ったが、終わってみればストレートの快勝。

 高橋よりも失点が少ないことが評価され、大会MVPに選出され、「うれしいです」と満面の笑みを浮かべた
(右写真=決勝で闘う山崎)

■二人そろって笑顔のインターハイは、今回が最後! 来年は激突へ

 昨年インターハイから、全国高校選抜大会、そして今年のインターハイと、ともに優勝してきた山崎と高橋。だが、ともに金メダルを掲げて写真に納まるインターハイは今大会が最後となりそうだ。山崎は「来年のインターハイは55s級で出ます」と、シニアへの準備を始めることから、3連覇の偉業を達成するのは、どちらかに絞られることになる。

 山崎の決断に対して、高橋は「勝ちます」と即答。一方、現時点ではパワーで劣る山崎は、やや遠慮がちに「勝ちたいです」と話した。スーパー高校生同士の対決は、来年春のセンバツで見られそう。どんな試合になるか楽しみだ。



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