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【特集】唯一の両スタイル制覇! 岡太一(拓大)の努力が実った【2010年8月30日】

(文・撮影=増渕由気子)



 全日本学生選手権で、拓大4年の岡太一(右写真)が唯一の両スタイル制覇を達成。グレコローマンに関しては2年連続の優勝という成績が認められ、大会MVPとなる文部科学大臣杯を受賞した。

 決勝戦の鈴木啓二(早大)戦はフルピリオドにもつれる接戦だったが、第3ピリオドにタックルで均衡を破り、最後は連続ローリングでテクニカルフォール勝ちを収めた。セコンドで岡の勇姿を見守った須藤元気監督は「自分のことのようにうれしいです。岡は、さなぎから蝶になりましたね」と笑顔で話した。

 4日間にわたって無敗を貫いた岡だが、実は“ガラスのハート”を持つ男だった。専門はグレコローマンだが、東日本学生リーグ戦など学校対抗戦のフリースタイルでもレギュラーを務める。84s級は、どうしても1勝3敗などと勝負が回ってくる階級のため、精神力の強さも要求されるポジションだが、「いつも大事なところで負けていた」と、拓大の黒星を決定付ける敗北を喫したことが何度もある。

 「いつも緊張したり、テンパッてしまって…」。力を発揮できずに敗北すると、常に西口茂樹部長のお叱りが待っていた。それは練習のときも同じだった。西口部長に怒られる確率はチームで3本の指に入るほど。須藤監督が「岡は、よく悩んだり葛藤したりしていたんです」と、話すように、ここ最近は完全に自信を失っていた。

 学校対抗戦の重圧に耐えられず、今年のリーグ戦前には「辞めたい」と西口部長に伝えた。精神的に限界だった。考えすぎていた岡に、須藤監督はアドバイスを送る。「ダンスするように試合をするんだよ」と、独自の視点でリラックスする方法を伝授した。

 今大会は得意のグレコローマンでは圧巻の勝利。学校対抗戦で苦労し続けたフリースタイルでも、グレコローマンで培った崩れない構えで、栄冠を勝ち取った。「やればできる!」。

 新人戦と違って、インカレの両スタイル制覇は狙ってできるものではない。価値あるMVPを受賞。「今回の優勝が少し自信になりました。次の大学グレコ、内閣と頑張りたい」と、学校対抗得点のある大会でチームに貢献することを誓った。



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