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男子グレコローマン・チームがモスクワへ向けて出発【2010年9月3日】


 世界選手権(9月6〜12日、ロシア・モスクワ)の男子グレコローマン日本代表チームが9月2日、成田空港からアエロフロート・ロシア航空で出発した(右写真)

 伊藤広道監督(自衛隊)は「強化の手ごたえはある。目標は7つのメダル」ときっぱり。その中には「もちろん、金メダルも含まれています」と、世界選手権では1983年の江藤正基(グレコローマン57kg級)以来26年間(19大会)生まれていない男子の金メダル獲得を宣言した。

 昨年は男子フリースタイルから始まる日程だったが、今年は男子グレコローマンから。日本代表の一番手として出場するのが、グレコローマンのエース、55kg級の長谷川恒平(福一漁業)だ。最終調整を終えて「あとはベストを尽くすだけです」とコメント。合宿最終日である1日には、富山英明・前強化委員長(日大教)の紹介で、脳神経外科の世界的権威であり、勝負脳の研究にもすぐれている林成之・日本大学大学院総合科学研究科教授による講義を受講した。長谷川は「僕は別の機会で講義を聴いたことがあり、本も読んだことがありました」と2度目の講義だったそうで、「前向きに、明るくするとよい」という内容が心に残ったそうだ。

 講義はそのほかの選手にもいい影響を与えたようだ。66s級の藤村義(自衛隊)は、メンタル面の講義を受けるのは初めて。「講義の内容は納得できることが多かったし、合宿の最後にこの話を聞いてよかった」と、合宿の締めにふさわしいメニューだったという。今回も「10kgほどの減量をしている」という藤村は、「試合前に耐えなければならないことだと分かっていても、気持ちが萎えてしまうことがある。けれど、『前向きに』という先生の講義を聞いて、やる気が出てきました」と話した。

 鶴巻宰(自衛隊)の辞退により、急きょ代表に選ばれた74kg級の金久保武大(マイスポーツ)は独自にメンタルの勉強をしたことがあった。「いろんな本を読んで、これまでは不安になることは是としていました。不安だから練習する、頑張る…。しかし、林先生の話は逆で、ポジティブ・シンキングでいることがプラスになるという内容だった。今回の話を踏まえると、不安でもその逆でも、僕的にはプラスになりますね」と、前向きにロシアへ発った。

 元木康年(自衛隊)コーチも「このタイミングでメンタル講義というのがよかった。また、ぜひ開催してほしい。コーチとしても、メンタル的に選手を支えることが多いので、大変勉強になった」とコメント。この結果が、世界選手権にどう出るかが楽しみだ。

こあのと、女子代表チームが4日、男子フリースタイル代表チームが6日に、それぞれ出発する。

(取材・撮影=池田安佑美)



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