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【特集】実力差はないことを実感…男子グレコローマン84kg級・斎川哲克(両毛ヤクルト販売)【2010年9月8日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)




 アジア選手権銀メダルの実績を持って2度目の世界選手権に臨んだ男子グレコローマン84kg級の斎川哲克(両毛ヤクルト販売)は、初戦を快勝したものの(右写真)、2回戦で6月の「G・カルトジア&V・バラバーゼ国際大会」(グルジア)で優勝しているウラジーミル・ゲゲシーゼ(グルジア)に0−2で敗れた。

 負けた試合は、グラウンドで「守れず、攻撃できなかった」というグレコローマンの負けパターンのひとつ。第2ピリオドのスタンドでは、相手の息が上がっているのが分かったそうだが、「追い詰められなかった。課題が多く残った」と言う。

 一方で、「実力差があるとは思わない。自分の頑張り次第で、勝てると思った」ともいう。レスリング王国のひとつである「グルジア」という名前に、びびってしまった面もあるそうだ。しかし、ゲゲシーゼは敗者復活戦でカザフスタン選手に敗れ、そのカザフスタン選手はアジア選手権で斎川が破っていた相手。「だれとも実力差は、大きくないことが分かりました」と言う。

■海外再修行の前に、国内で確固たる基盤づくりを

 何が何だか分からず、緊張しっぱなしでマットに上がった初出場の昨年に比べると、今年は「レスリングらしいことができました。試合をしたという感じはあります」と言う。

 こうしたことを実感できるのは、昨年から今年にかけて数多くの国際経験をしたからこそ。「口では強気のことを言っても、裏付けがなければ本当の自信は持てない」とのことで、全日本チームで、あるいは日体大OBで外国に行って試合と練習をしたことが、確固たる自信づくりへと役立っているようだ
(左写真=ゲゲシーゼを必死に攻める斎川)

 いっそうの海外遠征で実力をアップしたいところだが、それは「グラウンドの練習をもっとやり、納得できるようになってからにしたい」と、11月のアジア大会(広州)は別として、遠征よりは国内での確実な実力養成を優先したい考え。「中途半端な状態で海外にはいきたくない」とし、今年の残りで見つけた課題克服に力を注ぐ腹積もりだ。

 国内でしっかり鍛え、来年の冬にはさらに強固な基盤をつくった斎川が見られそうだ。



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