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【特集】初戦の開始早々にアクシデント! …女子67kg級・新海真美(アイシン・エィ・ダブリュ)【2010年9月11日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)




 2008年世界銀メダルの実績を持って2度目の世界選手権に挑戦した女子67kg級の新海真美(アイシン・エィ・ダブリュ)は、3回戦(2試合目)で世界3連覇を目指すマルティン・ダグレニエ(カナダ)に敗れ、3位決定戦では昨年3位のイフェオマ・イヘアナチョ(ナイジェリア)にフォール負け。メダルを取ることができなかった。

 実は、1回戦の開始早々に負傷していた。ヤニラ・モラレス(プエルトリコ)との一戦で、タックルに入って背後に回ったと思った瞬間、柔道の払い腰のようなカウンターの投げ技を受けてしまい、左ひざをやってしまった。

 力が入らなかったが、格下の相手には負けられない。グラウンド技でポイントを稼ぎ、第2ピリオドには意地で正面タックルを決めて勝った。栄和人・女子強化委員長が「あの状態で、よく正面タックルを決めることができたよ」と驚くほど、精神力で踏ん張った一戦。この大会にかけてきた意地が感じられた
(右上写真=負傷しながらも初戦を勝った新海)

■けがをしていても、思った以上に闘えた世界チャンピオンとの一戦

 しかし、続く世界チャンピオンとの試合では、手負いでは勝つことができなかった。攻撃をしのぐのが精いっぱいで、ポイントを挙げることができないまま、敗れてしまい、3位決定戦も力が入らない。全試合終了後には、左ひざにがっちりとテープが巻かれ、吉田沙保里の肩を借りてバスへ向かう姿があった。

 「けがをしたら、何もできない。それが反省点。弱いから負けました」と、大会を振り返った新海。それでも、世界チャンピオン(この大会でも優勝し3連覇)のダグレニエに対しては、手負いの状況であっても「思ったよりも攻撃を防げた。その面ではよかった」と、自身の成長を感じている様子
(左写真=ダグレニエの攻撃をしのぐ新海)

 2008年大会の決勝の時よりも、「闘いやすかった」とも振り返り、けががない状況で世界の頂点にいる選手と闘いたかった表情。悔いが残った中にも、確かな手ごたえを感じた2度目の世界選手権だった。



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