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【特集】強国撃破の結果と内容に収穫あり…男子フリースタイル96kg級・磯川孝生(徳山大職)【2010年9月12日】

(文=樋口郁夫、撮影=矢吹建夫)




 2度目の世界選手権となった男子フリースタイル96kg級の磯川孝生(徳山大職)は、2回戦で昨年3位のセルハト・バルチ(トルコ)に敗れたものの、初戦でブルガリアの若手選手、リュベン・イリエフを撃破した(右写真=イリエフ攻める磯川)

 昨年も初戦を勝ったが、途上国のブラジルの選手が相手だった。ヨーロッパ、しかもレスリングの強国のひとつのブルガリアの選手を破ったのは「収穫です」と言う。結果だけでなく、内容でも「組み手で負けることなく闘えた。全日本コーチの教えをやることができた。きつい練習を辛抱してきたかいがありました」と、満足感の多い試合だった。

 2試合目で闘った世界トップレベルの選手には、まだ通用しなかったものの、初戦のブルガリア戦での試合内容が、対外国の選手の闘い方との感触も得た。「組み手で(まさって)相手を動かす。ガツガツこられたら、差したり、がぶったりして動きを止める。勝ちパターンが見えてきました」という。

■世界3位の選手にも、気持ちの面では負けなかった

 もっとも、全く通用しなかったということではなく、「自分なりに精いっぱいできた。やってきたものを出そうとして挑むことができた」と、気持ちの面では負けていなかった。あがることもなくセコンドの声もよく聞こえ、精神面での成長も間違いなくあった。「世界のメダリストのレベルを目標にして、昨年から今年まで必死に練習してきた」ことは出し切ったようで、「大きな舞台で、これだけの試合ができなのは、貴重な経験です」と続けた
(左写真=世界3位相手に臆せず闘った磯川)

 このあとは、アジア大会(11月・中国)に備えてアジア選手対策をやらねばならないが、「アジア対策というより、自分のやってきたもの、今あるものを、レベルアップしていくだけ。新しいことに挑むより、その方が大切。体力も技術も、いまあるものを上げていきたい」と、練習の指針は固まっている。

 「やってきたことは間違っていない。試合で出せるように、覚悟を決めてトレーニングしていきます」と力強く宣言。昨年と同じ1勝1敗の成績だったが、着実な前進を感じ、目標をより確かに見つめることのできた世界挑戦だった。



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