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【特集】攻撃の突破口を見い出せず…男子フリースタイル74kg級・長島和幸(クリナップ)【2010年9月13日】

(文=車屋綾香、撮影=矢吹建夫)




 2年連続2度目の出場となった男子フリースタイル74kg級の長島和幸(クリナップ)は、初戦でアンドリー・シイカ(ドイツ)に敗れて、世界選手権初勝利を飾ることはできなかった。

 「実力不足を痛感しています」―。相手から何もさせてもらえない、そんな試合内容だった。第1ピリオド、グレコローマンのように上体で闘うスタイルでしつこく腕を取られる状態が続き、長島の攻撃のチャンスは封じられる
(左写真)。バックを2回取られて0−2で第1ピリオド終了。続く第2ピリオドも、相手のしつこい腕取りからチャンスを与えてもらえずにポイントを奪われ、世界との実力の差を見せつけられた試合だった。

 普段から、ビデオを見るなどして他国の選手のタイプや技術的なものを研究してノートへ分析しているという長島。今回闘ったドイツ選手は初めての顔合わせだったが、今回も試合前にビデオを見て相手のレスリングを分析して試合に臨んだという。また、腕取りや組手に関しても、練習を重ねて試合へ準備してきたが、「相手が上回っていました」と口にするように、分析や練習の成果を発揮することはできなかった。

■来年こそ越えられるか、世界の壁

 相手に攻撃させ、そのすきをうかがって反撃するというのが長島の闘い方だが、「自分の得意パターンに持ち込めず、攻撃のパターンを与えてもらえなかった」と言うように、世界では長島流が通用しなかった。

 試合を見ていたクリナップの今村浩之監督は「本人の言う通り。いいところが何もなかった。相手によって、試合中でも模索していくことが必要。基礎体力をはじめ、腕力も向上させていかなければいけない、1からまたやっていかなければいけない」と、厳しい表情で話した。

 2012年ロンドン五輪出場を目指す長島にとって、世界で勝ち進んで行くためにはたくさんの課題が残ることになった2度目の世界選手権。長島は「勝負するための攻撃の仕方を立て直すこと。そして、体力や技術をもっと向上させる必要がある」と今後、改善していかなければいけないことを語った。

 なかなか越えることのできない“世界の壁”。その壁を越えていけるときは果たして来るのだろうか、いや、来てほしいと願う。



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