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【特集】アクシデントを乗り越えて鈴木崇之(東京・警視庁)が2連覇…千葉国体・成年フリースタイル74kg級【2010年10月3日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)



 「ゆめ半島千葉国体の」男子フリースタイル74s級では、鈴木崇之(東京・警視庁=右写真)が、66s級で培ったスピードと、キッズ時代からつちかってきたセンス(全国少年少女選手権6連覇)を生かして大会2連覇を達成した。、決勝では学生王者の高谷惣亮(京都・拓大)をストレートで破った。

 満身創痍(そうい)の大会だった。準決勝では、今季から階級を上げてきた森川一樹(山梨・山梨県協会)と対決。アクシデントのバッティングにより頭部を負傷し流血。試合を大幅に中断することになってしまった。だが、幸いにもけがは外傷のみ。外見の頭部に巻かれたテーピングは痛々しかったが
(左下写真)、スピードや技の切れが落ちることはなかった。

 決勝戦の高谷戦は壮絶なタックル合戦となった。高谷は強烈なフェイントから切れのあるタックルを仕掛けてくる。だが、そこに66kg級からアップしたばかりの軽い鈴木はいなかった。現在の体重は80kg近く。高谷に何度も足を触られても、持ちこたえる下半身の強さが出来上がっていた。第1ピリオドをクリンチでものにすると、第2ピリオドは、タックルやアンクルホールドで追加点を奪って4−1。学生王者にレベルの差を見せつけの優勝を飾った。

■国体優勝は、全日本選手権優勝のステップ!

 アクシデントを乗り越えての優勝にもかかわらず、鈴木は「いつもどおりやっただけ」と淡々の話すのみ。それもそのはず。国体で優勝してもオリンピックには関係ない。「12月の全日本選手権から勝負が始まる。国体はそのステップです」と、天皇杯全日本選手権に向けて気を引き締めた。

 鈴木は、2007年に66s級で世界選手権に初出場し、五輪出場資格獲得にあと一歩の9位(8位までが資格獲得)。同級でのさらなる成長に期待がかかったが、その後、国内予選で敗れて五輪代表争いから脱落。しかし心機一転、74s級に階級アップをして次のオリンピックを目指した。

 昨年9月の新潟国体は、2007年世界代表で地元のエースでもあった萱森浩輝(新潟・新潟県央工教)を決勝で下して大会初優勝。74s級になり切れていない体であっても、タイトルを戴冠した。鈴木の残る使命、そして2012年ロンド五輪に向けて絶対にやり遂げなければならないことは、同級で絶対王者に君臨する長島和幸(クリナップ)と世代交代することだ。

 打倒長島に関して「そろそろ勝てるように、ではなく、勝たなくちゃいけない」と、12月に越える壁と宣言。「このへんで74kg級で自分がひとつ図抜けた存在になりたい」と目標を掲げた。



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