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【特集】須藤学(日大)が有終の美飾る…「強い相手は全員倒した!」【2010年11月12日】

(文=池田安佑美)



 全日本大学選手権の55s級は日大主将の須藤学(右写真)が二連覇を達成した。この日、日大勢は須藤のほか、60s級の入江清志と74s級の細谷翔太朗が3位に入賞。大学対抗戦の得点は25点で3位へ食い込んだ。主将自ら大役を果たし、大砲が控える最終日(重量級)にバトンを託した。

 今年、日大は創部70周年を迎えた。6月には盛大なパーティーを行い、そこで須藤は主将としてチャンピオンになる決意表明した。昨年、3年生でこの大会を制覇した須藤には、今年、大車輪の活躍に期待がかかった。しかし、8月の全日本学生選手権(インカレ)では計量直前に持病の喘息(ぜんそく)で発作を起こして無念の棄権。喘息は20歳ごろから悩まされ、特に季節の変わり目や、寝起き、就寝時の症状がひどく、「朝練習もできなくなってしまった」と振り返る。体調が落ち着く昼の練習のみで調整を続けてきた。

 須藤の頭の中にあったことは、「日大主将の誇り」。富山英明監督からも「自分よりチームのこと」と言われていた。 「インカレは出たかったのですが、僕にとって一番重要なのは日大主将としての仕事をまっとうすること。個人戦のインカレより、9月の大学王座決定戦に照準を合わせることにしました」

 インカレを棒にふってしまった分、学校対抗戦かつ個人戦でもあるこの大会にいつもの2倍、気合を入れて臨んだ。12月の全日本選手権の出場は「基本的に考えてない。日大のことだけを考えてやってきた」と今大会は須藤の引退試合でもあった。

■投げ技で強豪を連破し、二連覇へつなげた

 引退試合で悲願の優勝―。結果だけみると下馬評どおりに大会を連覇した須藤だが、組み合わせは一番の激戦区をひいてしまった。「初戦が日体大の奥田賢市朗、2回戦が拓大の中野裕二、さらに準決勝はインカレ王者の半田守(専大)。この組み合わせを見た時は、強い選手全員倒せってことなのかなと思いました」と振り返る。

 いばらのトーナメントを制した須藤を助けたのが、「投げ技」だった。須藤はキッズ時代は柔道とレスリングを同時に習っていた。「今日、全試合で柔道仕込みの投げ技が決まったんです。1回戦からすごく集中できました」と充実した試合内容だった。インカレ王者・半田戦では、相手優勢のクリンチを切って、場外際で投げ技をさく裂。決勝戦でも鮮やかな一本背負いを決め
(左写真)リードを奪った。

 大学の有終の美を飾った須藤だが、口元は緩まない。「最終日に日大が優勝したら、満足した学生生活と言えます」と、最後まで日大主将の立場を忘れなかった。日大は、84s級に全日本選抜選手権2位の永田裕城、120s級にはインカレ王者の相沢優人を控える。現在、首位の拓大に11点差。日大創部70周年イヤー最終戦の結果はいかに。



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