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【特集】同郷対決を制し、自然体で大会3連覇! 高谷惣亮(拓大)【2010年11月12日】

(文=池田安佑美)



 全日本大学選手権74s級は高谷惣亮(拓大=右写真)が大会3連覇、そして2年連続学生二冠王者に輝いた。決勝戦では京都出身同士の同郷対決となった。1年生王者を狙った北村公平(早大)とは、高校時代から闘っていた。だが、高谷が北村をストレートで下して優勝した。

 2007年12月に高校生ながら全日本選手権フリースタイル74s級で決勝の舞台を踏んだ高谷。彗星のごとく全日本のマットに登場してから3年が経過。“タックル王子”こと高谷もジュニアを卒業し、本格的にシニアに参戦する大学3年生になった。

 大学1年から学生界では期待通りの成績を残してきた。一方で、スーパールーキーとして特別視された重圧もあった。「『もう、次は全日本優勝でしょ』とよく言われました」。ジュニア時代に全日本選手権で表彰台に上がることは大変なことだが、高校生で一気にスターにかけあがった高谷に、周囲は過度に期待をかけすぎていた。

■今度は破れるか、全日本2位の壁

 大学に入って学生タイトルは簡単に手に入れたが、全日本選手権、全日本選抜選手権、国体など全日本レベルの大会では2位が最高の成績。タイトルへの壁になったのが、千葉国体王者で元66s級世界代表の鈴木崇之(警視庁)だ。2009年の春の全日本選抜選手権、冬の全日本選手権、2010年の春の全日本選抜選手権に秋の千葉国体と、4大会で鈴木に負けて優勝を逃している。

 高校時代に、現在の絶対王者・長島和幸(クリナップ)を追い詰め、2度目の再戦が待ち遠しいが、「大学に入ってから1度も闘ったことがない」と高谷。長島の挑戦権を得る前に、同じ京都出身の先輩、鈴木が壁になっている状況だ。全日本選手権の話題を振ると、「鈴木さんに勝たないと…」と、思わず本音がポロリと出てしまった。

 シニア初制覇へ、そして2012年ロンドン五輪へはばたくために高谷が一番重要視するのは平常心。「勝とう、勝とう、と思うことはやめました。いつもどおりが重要です」。

 全日本のステップになる今大会では、決勝の舞台で平常心の闘いができた。打倒高谷を胸に、開始早々から突進してきた北村を落ち着いてかわすなど、熱くなりすぎることはなかった。突進してきた北村は自ら場外へ出てしまうなどして自滅。自らタックルを決め
(左写真)、鮮やかなカウンターも決めてみせた。この冷静さが全日本で出れば、高谷王子の全日本制覇は見えてくる!



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