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スウェーデン遠征の女子選抜チームが帰国【2010年3月12日】


 スウェーデンに遠征していた中高生を中心とした女子チームが3月11日、成田着のスカンジナビア航空で帰国した。「クリッパン女子国際大会」では、カデットでメダル9個(金メダル6個)、ゴールデン・グランプリ(GP)予選のシニアでは銀メダル2個を取り、その後、20ヶ国が参加した合同合宿をこなしての帰国。成富利弘監督(東京・安部学院高教)は「シニア・ジュニアでは優勝はなかったが、参加した選手はほとんどがジュニアの選手。世界のトップ選手相手に勝つことはできなくても、だれもが善戦し、全く歯が立たないといった選手はいなかった。カデットは、世界のすべての国が出ていたわけではないが、世界一の実力があることを証明できたと思う」と総括した。

 シニアの大会はレベルが高いため、「全日本チームが無理なら、学生選抜チームも参加させるべきだと思う。大学生には遠征の機会がないことだし」と話し、来年以降の課題とした。

 合宿では、各セッションごとにコーチが変わり、いろんな国の練習を学ぶことができたという。シンガポールからは元全日本男子チーム・コーチのセルゲイ・ベログラゾフ氏(ロシア)が来ていたそうで、「多くの技に接することで、技の幅が広がった。その中から自分に合った技をマスターできる。試合をやってすぐに帰ってくる遠征にはない有意義な遠征だった」と言う。

 
今回同行したスタッフは、成富監督のほか、コーチ3人(女性2人)。23選手もの大所帯になると、選手の健康管理も大変なので、ドクター帯同の必要性も感じたそうで、これも来年以降の課題とし、若手の登竜門としてのこの遠征の充実を願った。

■今年7月には“第2の世界選手権に挑戦か…斉藤貴子、浜田千穂

 シニア59kg級で銀メダルを取った斉藤貴子(自衛隊)は「チャンピオンになることは難しいと感じた」と振り返り、「銀メダルを取ったうれしさより、優勝できなかった悔しさの方が大きい」と言う。決勝のマリアンナ・サスティン(2005年世界2位=ハンガリー)戦は、第1ピリオドにポイントを先制するなどしたが、場外に出されるなどして敗れた内容。「勝てない相手ではない。もっと粘っていれば…」と悔いが残った。

 参加した23選手の中で、シニアは斉藤ただ1人。若い選手の間で戸惑いもあったと思われるが、「みんな受け入れてくれました」と笑う。若手チームに“果敢に挑んだ”だけのことはあった遠征であり、「もっと世界で力を試してみたい。気持ちを強く持って、明治乳業杯では優勝を狙います」ときっぱり
(左写真:シニアで銀メダルを取った斉藤=右=と浜田)

 シニアでもう一人銀メダルを取った55kg級の浜田千穂(東京・日本工大駒場高)は、決勝は世界5位のタチアナ・パディーヤ(米国)相手にラスト20秒に投げられて逆転負けを喫しての銀メダル。「最後に守ってしまった。最後まで攻めていれば、逆転されなかった」という悔しい内容。一方で、「(世界における)自分のレベルも分かり、自信がついてきました」と、飛躍につながりそうな大会となった。

 大会に2日前に行われた対抗戦では、米国の別の選手(ホワイトニー・コンダー)に「ボコボコにやられ」、シニアとの実力差を痛感した。大会に臨むにあたっては不安だらけだったというが、試合が始まると「負けたくない」という気持ちが強くなり、日本で指導してくれているコーチらの顔も浮かんで気合いが入ったという。

 両選手とも、“第2の世界選手権”とも言われるゴールデンGP決勝大会(7月・アゼルバイジャン)の出場権獲得が濃厚となった。ともに「チャンスがあれば出場したい」と口をそろえる。優勝賞金1万ドル(約90万円)の大会だが、浜田は「お金より、オリンピックに出ている選手相手に、どこまでできるかを試してみたい」と、世界最高レベルの大会で闘いたい気持ちを表した。

遠征を終え、成富利弘監督(右端)らコーチング・スタッフからあいさつ。
カデットのメダリスト。前列左から宮原優、坂上楓舞希、奥野里菜、岡本佳子、後列左から金子和、川井梨紗子、坂野結衣、古市雅子、土性沙羅。

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