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男子グレコローマンの全日本チームが帰国【2010年3月10日】

(文・撮影=増渕由気子)


 ハンガリーに遠征していた男子グレコローマンの全日本チームが3月9日、成田着のルフトハンザ航空で帰国した。遠征中に参加したゴールデン・グランプリ(GP)予選「ハンガリー・カップ」で66kg級を制した藤村義(自衛隊)が笑顔で帰国。2月の「デーブ・シュルツ記念国際大会」(米国)に続いて3位に入賞した55kg級の長谷川恒平(福一漁業)も元気な姿を見せた。

 また、学生選抜チームの一員としてブルガリアで行われた「ニコラ・ペトロフ国際大会」(男子グレコローマン)の66kg級で銅メダルを獲得し、そのまま全日本チームに合流して「ハンガリー・カップ」に参戦した岡本佑士(拓大)も別便で帰国。シニアの海外遠征で初となるメダルに手ごたえをつかんだようだ。

■「海外でやれる自信ついた」−。ポーカーフェイスから笑みがこぼれる藤村

 両スタイルともに軽量級をお家芸とする日本だが、グレコローマン66kg級に関しては、2004年アテネ五輪、2008年北京五輪と連続で五輪出場を逃している階級。

 今大会、ついに藤村が国際大会優勝を成し遂げた
(右写真=遠征中の同部屋コンビがメダル獲得。右が藤村、左が長谷川)。それも、世界3位のアンバコ・バチャーゼ(ロシア)を破る快進撃を見せての優勝だ。「3度目の冬の遠征で、段階を踏むことができた」と藤村。この大会は3年連続で出場しており、2年前は3回戦(2試合目)敗退で、昨年は5位。他に2009年アジア選手権も5位。内容が評価されているだけに、あとは結果を出すだけの状況だった。

 それだけにうれしい優勝で、時差ボケも感じさせない笑顔を何度も見せた。「組み手などの細かいところを修正した」と、少しのミスも許さない徹底した組み手を身につけたことが勝因。「(世界で勝てる)自信がついた」と前を向いた。ただ、昨年12月の全日本選手権は清水博之(自衛隊)に敗れて2位で、後輩のの後塵を拝した。

 もっとも、「コンディションが悪くて勝ちにいける状況ではなかった」と、これは納得の敗戦。「その負けは気にしていない」と話し、5月の明治乳業杯全日本選抜選手権では本戦とプレーオフを制して、2年連続の世界選手権代表を狙う腹積もりだ。

■課題を浮き彫りにさせてくれた2つの銅メダル

 昨年の世界選手権55kg級代表の長谷川は、銅メダル2つという結果で冬の遠征を終えた。昨年は冬の遠征やアジア選手権など4大会連続国際大会優勝という成績を残し、一躍日本のエースになったが、世界でメダルを取るためには、まだ、いくつかの課題を乗り越えなければならないことを痛感した遠征になった。「ローリングのディフェンスは完ぺきだが、がぶり返しとリフトの防御が甘い。韓国の選手に練習ではかなりやられてしまった」と振り返った。

 また、世界選手権ではメダルはならなかったものの、「ハセガワコウヘイ」の名前は海外勢にかなり知れ渡っているようだ。「研究されている。得意の一本背負いなどを警戒して、右手を出す選手がいなくなった」と話し、「研究されても取れるように技を磨いていかないと」と課題を明確にした。


■大学3年でシニアのメダルを獲得 岡本


 単身で帰国した岡本の胸にも国際大会で獲得した銅メダルが輝いていた。ブルガリア国際大会での表彰台も、ハンガリーカップでは10位。「悔しかった」と感想をポツリ。学生ではもはや敵なしの強さのため、来週にはアゼルバイジャンに1ヶ月ほど武者修行に行くという。「練習はもちろん、滞在中に行われるヨーロッパ選手権などを見て、見聞を広めたい」と、大学3年とは思えない意識の高さを見せた。

遠征を終了し、伊藤広道監督が総括。 今冬の遠征を終えたグレコローマン・チーム。 学生チームから1週間遅れて帰国した岡本。

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