全日本女子チームが今年最初の合宿スタート【2010年2月7日】



全日本選手権の1〜3位を中心とした全日本女子チームが2月6日、東京・味の素トレーニングセンターで今年最初の合宿をスタート。通い選手を含めて約40選手が参加した(左写真)

 栄和人・女子強化委員長(中京女大教)は練習に先立ち、暴行騒動で引退に追い込まれた大相撲の横綱朝青龍に関連し、「強いだけではダメ。日常の言動から十分に注意するように」と選手に伝えた。同委員長は朝青龍とも面識があり、吉田沙保里選手が優勝した時にはわざわざ電話してくれて祝福してくれるなど、一部で伝えられているような横暴な人間でないことは知っているが、「マスコミに対してきちんと対応できなかったことが(引退に追い込まれた)一因だと思う。マスコミに対してのみならず、ふだんの行動と言葉には常に注意し、周囲のだれからも応援される人間になってほしい」と、その真意を話した。

 この日の練習は午後のみで、技術練習、スパーリング、補強トレーニングで約2時間半。同委員長は「久しぶりの全日本合宿の初日だからか、みんな動きが硬い。スパーリングでは相手の様子を見る選手が多い」と、内容にはやや不満気味。2日目からしっかり追い込みたいという。

 主将に指名された55kg級の吉田沙保里(ALSOK綜合警備保障)は「これまで2月の初めから全日本合宿が始まることはなかった。世界がレベルアップしているから、このくらいの時期からやっていかなければならないでしょう」と、例年より早いスタートを分析。2004年アテネ・2008年北京両五輪の同僚だった63kg級の伊調馨(ALSOK綜合警備保障)が約1年半ぶりに全日本チームに復帰し、「ムードが盛り上がってきた。チームをしっかり引っ張りたい」という。

 昨年暮れに疲労骨折した右手首は、快方に向かっているものの、まだ完治という状況ではなく、マットに手をつくと痛む状況。「無理をしてはいけないという気持ちと、しっかりやらなければ置いていかれるという葛藤(かっとう)があります」と言う。3月27〜28日のワールドカップ(中国・南京)はパスする予定で、4月30日からの明治乳業杯全日本選手権を照準を合わせて調整し、世界選手権(9月・ロシア)とアジア大会(11月・中国)の優勝を目指して万全を尽くすという。

■「強い人が大勢いる中で闘えるのは幸せ」…伊調馨

 1年半ぶりの全日本合宿参加となった伊調は、体のけがもあって別メニューで調整。スパーリングなどをしたわけではないが、「大勢で練習するのはいいですね」と、“本来の場所”に戻ってきて気持ちよさそう。3月末のワールドカップには参加する予定で、約1年7ヶ月ぶりとなる本格的な国際大会出場を直近の目標に掲げ、仕上げていく予定(右写真=練習に来た富山英明・前強化委員長と打ち込み練習をする伊調)

 昨年12月にカナダから帰国して以来、都内に住居を構え、都内の大学や自衛隊に練習に行く練習環境になった。いろんなチームに練習に行くたびに「新鮮な気持ちで練習できる」そうで、北京五輪前とは違った“レスリング人生”を充実させているもよう。

 先月末には山本聖子(スポーツビズ)がロシア最高レベルの国際大会「ヤリギン国際大会」で優勝し、世界チャンピオンの西牧未央(中京女大)を含めた国内の闘いがいっそう厳しくなりそうだが、「強い人が大勢いる中で闘える幸せさを感じる。チャレンジできることは幸せ」と話し、苦しいとは思っていない。

 「聖子さんも私も、まだ今の世界のレベルがはっきり分かっていない状況。(世界には)これから復帰してくる選手もいる。ロンドン・オリンピックまではまだ時間がありますので、焦りません」とのことで、自分のペースで実力を伸ばしていく気持ちを表した。

■「試合に臨む時のようにドキドキ」…現役復帰の坂本日登美

 コーチとしての参加から一転して選手としての参加となった48kg級に挑む坂本日登美(自衛隊)は「緊張しました」と第一声。合宿に来る時もスパーリングを始める時も、「試合に臨む時のようなドキドキでした」とのこと。「選手としてオリンピックを目指せることに幸せを感じます」と、伊調と同じようなことを口にした。

 現在の通常体重は1kg減って54kg。まだ48kg級の体にはなっていない。“1ヶ月に1kg絞る”を目標に4月30日からの全日本選抜選手権を目指す。3月末のワールドカップは2kgオーバーで計量する大会なので、出場も打診されたが、これを辞退し、3ヶ月後をめどに仕上げていくという。

 なお、2008年10月の東京・世界選手権以来の全日本復帰となる予定だった72kg級の浜口京子(ジャパンビバレッジ)は、体調不良のため、急きょ参加を取りやめた。

 合宿は11日まで。3月10日から同所で今年2度目の合宿を行い、ワールドカップに臨む。同大会は3年連続で優勝を逃していることもあり、「勝てるメンバーを選ぶ」(栄和人強化委員長)として、現在代表選手を選考中。

栄和人強化委員長も率先して熱烈指導指導を展開。 チームをけん引する吉田沙保里。右手首の負傷の回復は順調。 現役復帰した坂本日登美(左)と51kg級全日本チャンピオンの甲斐友梨。 練習の最後は過酷な補強トレーニングが待っていた。

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