山本聖子(スポーツビズ)が63kg級で初の国際大会優勝…ヤリギン国際大会第2日【2010年1月31日】



 ヤリギン国際大会第2日は1月30日、ロシア・クラスノヤルスクで男子フリースタイル2階級、女子4階級が行われ、女子63kg級は山本聖子(スポーツビズ)が4試合に快勝して優勝。復帰後、8月のポーランド・オープンに続いて海外2連勝を達成。この階級では初の国際大会優勝をを飾った(右写真)

 山本は1回戦でモンゴル選手、2回戦で米国選手を撃破。準決勝では、2008年世界2位で56kg級時代に世界一を争ったことのあるルボフ・ボロソバ(ロシア)をも破って決勝へ進出。決勝も北京五輪11位のユリア・オスタプチュク(ウクライナ)相手に2−0(3-1,1-0)で勝ち、金メダルを獲得した。4試合で失ったポイントは決勝の1点だけというすばらしい内容での優勝だった。

 男子フリースタイル60kg級の小田裕之(国士舘大)は、ロシア2選手を含めた4試合に勝って決勝へ進出。しかし北京五輪銀メダリストのバシル・フェドロシン(ウクライナ)に0−2で敗れ銀メダル。同級の高塚紀行(日大コーチ)も3回戦でフェドロシンに黒星。フェドロシンが決勝に進んだことで敗者復活戦に回り、2試合に勝って3位決定戦へ。そこでウズベキスタン選手を破り、銅メダルを獲得した。

 女子55kg級の松川知華子(ジャパンビバレッジ)は、2回戦で欧州チャンピオンのナタリア・シニシン(ウクライナ)に黒星。同選手が決勝に進めなかったため、敗者復活戦に回れなかった。

 最終日には日本選手は出場しないため、この日で男女とも終了。男子は「銀1・銅2」、女子は「金2・銅1」を取った。

 各選手の成績は下記の通り。
(リザルトがロシア語であり、現在、姓名の英語表記を調査中。判明次第、修正します)


小田裕之 高塚紀行 松川知華子 山本聖子

 ◎男子フリースタイル

 【60kg級】小田裕之(国士舘大)        2位=37選手出場

1回戦  BYE

2回戦 ○[2−1(3-0,0-2,3-0)]Batuduun(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオド、小田が30秒に回り込んで1点を先制。相手の腕をとって通称“ワダ・スペシャル”で転がし2点を加えた。3−0でこのピリオドを先制。第2ピリオドは40秒に左脚にタックルを受けてしまい小田が1失点。終了間際、脚をかけての勝負に出たが失敗して1点を失い、0−2で敗れた。

 第3ピリオドは開始早々に小田が一本背負いを決め、その3点を最後まで守り切った。

3回戦 ○[2−1(1-0=2:04,0-1,1-0=2:30)]Magomed(ベラルーシ)

 《試合経過》第1ピリオドは2分間を0−0。クリンチの攻撃権を得た小田が確実に1点を取った。第2ピリオド、0−0で進んだ後、小田が相手の右ひざの裏をタイミングすくって倒したかに見えたが、最後が悪かったのか、相手に反撃されて1失点(チャレンジはせず)。このピリオドを落とした。

 第3ピリオドは2分間を0−0。クリンチの防御となった小田は、脚を伸ばして相手のクラッチを切り、スタンド戦になってもポイントを許さずに30秒を守り切って貴重な1点を取った。

【2回戦1P】小田(赤)は師匠直伝のワダ・スペシャルを披露。 【2回戦3P】開始早々に一本背負いを決め、3点を取った小田。 【3回戦1P】0−0のあと、小田(青)はクリンチからの攻撃を確実に取った。 【3回戦3P】クリンチの防御だったが、30秒を守り切って勝利を引き寄せた。

4回戦 ○[2−1(0-1=2:02,1-0,@-1)]Banzarak(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオドは2付分間を0−0。クリンチの防御となった小田が1点を失った。第2ピリオドは0−0で進んだ後、1分40秒に小田がタックルから場外に押し出して1点を取り、このピリオドを取った。

 第3ピリオドは30秒にバックを取られた小田が、必死の反撃を試みたがポイントを取れずに終盤へ。ラスト数秒、脚を取ってテークダウンを狙うが、審判のポイントが上がらないままタイムアップ。日本陣営はチャレンジし、ビデオチェックの結果、小田に1点が認められた。

準決勝 ○[2−1(1-0=2:08,0-1=2:00,1-0=2:05)]Saritov(ロシア)

 《試合経過》3ピリオドとも2分間は0−0という接戦。ボールピックアップはすべて青(小田)に上がった。第1ピリオドは小田が確実にテークダウンを決めて先制。第2ピリオドは、まず小田がフラウングで注意。次に相手に小田を押すアクションがあったため、相手に注意。次も小田の体を押してきたため、小田がこの腕をはねのけてクラッチを組み攻撃を仕掛けると、小田にフライングの警告がくるという納得のいかない判定で、このピリオドを落とした。

 第3ピリオド、慎重にスタートした小田は、相手を持ち上げ、場外へうっぷんを晴らすかのようにたたきつけた。相手陣営は小田の足が場外に出ていたとチャレンジし、もめにもめたが、結局、小田のポイントとなった。

【4回戦2P】小田(青)がタックルから相手を場外に押し出して1点。 【4回戦3P】終了間際の攻防。チャレンジで小田に1点(写真のシーンが1点?) 【準決勝1P】0−0のあと、小田(青)がクリンチからテークダウンを奪った。 【準決勝3P】3度目のクリンチ。不可解判定のうっぷんを晴らした。

決勝 ●[0−2(0-3、TF1-7=1:56)]Vasil Fedoryshyn(ウクライナ)

 《試合経過》第1ピリオドの1分13秒、小田は一本背負いを受けてしまい、痛恨の3失点。0−3で先制された。第2ピリオドも40秒に左脚にタックルを受けてしまい、ガッツレンチで回されて0−3。1分21秒に足払いで崩して1点を返したものの、1分39秒に首投げで3失点。日本陣営はチャレンジしたが、なぜか却下。1分56秒、場外へ出されて6点差をつけられ、テクニカルフォール負け。

【決勝1P】1分すぎ、一本背負いを受けてしまった小田(赤)。3失点。 【決勝2P】0−3のあと、足払いで1点を返した小田だったが…。 【決勝2P】首投げを受けて3失点。体は返っていないように見えた。 【決勝2P】1−6でもあきらめずに攻めた小田。しかし、このあと場外へ出された。

 【60kg級】高塚紀行(日大コーチ)        3位=37選手出場

1回戦 ○[2−0(@L-1,1-0)]Shawn Bunch(米国)

 《試合経過》第1ピリオドの中盤、首投げにいった高塚だが回り込まれて1失点。このまま試合が進んだが、ラスト数秒で仕掛け、残り時間1秒でバックを取って1−1。ラストポイントでこのピリオドを先制。第2ピリオド、高塚ががぶられたものの、そのまま前に出て相手を場外に押し出し、開始20秒に1点。このポイントを守り切った。

2回戦 ○[2−0(1-0,1-0)]Kozlov(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進み、クリンチ勝負かと思われた瞬間、高塚がタックルで相手を押し出し、ラスト1秒に1−0とした。第2ピリオド、組みつかれた高塚だが、徐々に体勢をよくしくぐりぬけてバックへ回り、50秒で1−0。そのままのスコアでこのピリオドを取った。

【1回戦P】0−1のあと、高塚はラスト数秒で仕掛けて1−1へ。 【1回戦2P】高塚は持ち味の突進力を生かして相手を場外へ押し出した。 【2回戦1P】0−0のあと、ラスト1秒に押し出して高塚(青)が1点獲得。 【2回戦2P】高塚が中盤に1点を獲得。残りの時間をしのいだ。

3回戦 ●[0−2(0-1=2:04,0-3)]Vasil Fedoryshyn(ウクライナ)

 《試合経過》第1ピリオドは2分間を0−0。クリンチの防御となった高塚が1点を取られた。第2ピリオドは40秒に高塚が落とされて回り込まれて1失点。ガッツレンチを受けて0−3。このあと反撃したが、追いつけなかった。

敗者復活戦@ ○[2−0(3-0,1-0)]Chakaev(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進み、1分24秒、高塚が相手を場外際に追い込み、3点となるタックルを決め、3−0でこのピリオドを先取。第2ピリオドも常に攻めて相手の攻撃を許さず、1分28秒に場外に押し出して1点を獲得。1−0で勝った。

【3回戦1P】2006年世界選手権3位決定戦の相手と闘う高塚(赤)。1Pは0−0。 【3回戦P】バックを取られた後、ガッツレンチで回されてしまった。 【敗復戦@1P】0−0のあと、場外際のタックルで高塚(青)が3点を奪取。 【敗復戦@2P】常に前に出た高塚。1分30秒ころに相手を場外へ押し出す。

敗者復活戦A ○[フォール、1P1:25(F4-0)]Ganzorig(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオドの1分3秒、相手の背後に回り込んだ高塚が場外に押し出して1点を先制。再開後、今度はうまく崩してテークダウンを奪い、一気にニアフォールへ。そのままフォールして勝負を決めた。

3位決定戦 ○[2−0(2-1,5-0)]Ermatov(ウズベキスタン)

 《試合経過》第1ピリオドの序盤、高塚ががぶったあと、わき腹に頭を押しつけてエビ固め狙い。1点を先制。1分25秒にタックルをつぶして1点を加えた。終了間際に1点を取られたが、2−1でこのピリオドを先制。第2ピリオドは、開始早々にがぶって相手のひざ裏をすくってエビ固め。3点と5秒以上押さえた1点が入って4−0。1分15秒にもがぶりから回り込んで1点を取り、5−0とした。

【敗復戦A1P】相手の背中に回った高塚は場外へ押し倒した。 【敗復戦A1P】崩してテークダウンを奪うと、一気にフォールへ。 【3決戦1P】高塚(赤)は頭を相手のわき腹につけて、エビ固め狙い。 【3決戦2P】エビ固めからフォールを狙った高塚だが、惜しくも逃げられる。

 ◎女子

 【55kg級】松川知華子(ジャパンビバレッジ)        15選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,5-0)]Oleiniko(カザフスタン)

 《試合経過》第1ピリオドの45秒、松川が左脚へ片足タックルを決めて1点を先制。1分40秒、脚をかけてきた相手を押しつぶして1点を加えて2−0とした。第2ピリオド、松川は中盤にタックルで3点を取り、1分30秒にもタックルを決めて4−0。ラスト5秒にも回り込み、5−0として快勝。

2回戦 ●[0−2(TF0-6=1:47,1-5)]Nataliya Synyshyn(ウクライナ)

 《試合経過》第1ピリオドの43秒、松川は右脚を取られて1失点。1分30秒にも正面タックルを受けて、あびせ倒されるような形でマットに落ちて3点を失い、ガッツレンチで回されて0−6とされた。第2ピリオドは中盤、がぶり返しを仕掛けたが、失敗して2失点。1分24秒にタックルで1点を返し、グラウンドで逆転を狙ったものの、すっぽ抜けるような形で自滅し、押さえ込まれてニアフォールへ追い込まれ、1−5とされて敗れた。

【1回戦P】松川(赤)が相手の左足にタックルを決めて1点を先取。 【1回戦2P】3−0のあと、もう1度タックルを決めて4−0へ。 【2回戦1P】0−1のあとの中盤、正面からあびせ倒されて3失点。 【2回戦2P】松川は、がぶり返しで活路を見出したが失敗し、2失点。

 【63kg級】山本聖子(スポーツビズ)        優勝=13選手出場

1回戦 ○[2−0(2-0,TF6-0=1:46)]Tchdenborzh(モンゴル)

 《試合経過》第1ピリオドの開始早々に山本が正面タックル決めて1点を先制。1分30秒、がぶって攻めてバックを奪い、2−0とした。第2ピリオドも49秒に3点となる正面タックルで先制。1分46秒、アンクルピックで背中から相手をマットへ落として3点を加え、6−0とした。

2回戦 ○[フォール、2P0:29(1-0=2:04,F4-0)]Elena Pirozkhova(米国)

 《試合経過》第1ピリオドは2分間を0−0。ボールピックアップで攻撃権をもらった山本が確実にテークダウンを決めた。第2ピリオドは前半に山本が外無双で相手を倒し、そのままフォールを決めた。

【1回戦2P】山本(赤)ががぶりからの攻撃で2点目を獲得。 【1回戦2P】3−0のあと、山本は左手で相手の右足首をすくって3点をゲット。 【2回戦1P】決め手にかけ、0−0で2分間が終了したが、kクリンチで勝利。 【2回戦2P】山本は外無双から押さえ込み、フォール勝ち。

準決勝 ○[2−0(1-0.TF7-0=1:53)]Lubov Volosova(ロシア)

 《試合経過》第1ピリオド、0−0で試合が進んだ後、1分30秒、山本がアンクルピックでテークダウンを奪い、1−0でこのピリオドを先制。第2ピリオド、山本は50秒にくぐるようなタックルで相手を一気にニアフォールへ(2−0)。1分5秒にも1点を入れ、終盤にはタックルの相撃ちに勝ってマットに背中から落とし、5秒以上のニアフォールで1点追加。7−0としてテクニカルフォール勝ち。

【準決勝1P】山本(青)は必殺のアンクルピックで相手を崩して1点。 【準決勝2P】タックルの相撃ちに勝った山本は、背中からマットに落とし3+1点。

決勝 ○[2−0(3-1,1-0)]Yulia Ostapchuk(ウクライナ)

 《試合経過》第1ピリオド、山本は相手のタックルで脚を取られてしまったものの、自らの体も一回転して相手の体を回し、47秒に自分だけ2点を獲得。さらに1分30秒、バックを取って1点を加えた。終了間際に巻き投げで1点を失ったものの、3−1でこのピリオドを先制。第2ピリオドは惜しい場面もあったが、ポイントを取れず、0−0でラスト10秒を切った。ここで山本が仕掛け、タックルを決めてラスト2秒に貴重な1点を挙げて優勝を決めた。

【決勝1P】タックルで入られた山本(青)は自分の体ごと回転して2点を獲得。 【決勝1P】1分30秒にも攻めて1点を獲得、3−0と有利に試合を運んだ。 【決勝1P】巻き投げで1点をとられフォールを狙われる。唯一ピンチらしいピンチ。 【決勝2P】0−0で試合が進み、終了間際に仕掛けた山本。貴重な1点を獲得。

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