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【特集】全国高校選抜大会中止のショックを乗り越え、花咲徳栄(埼玉)が3年ぶり2度目の優勝!
【2011年6月6日】

(文・撮影=増渕由気子)




 関東高校大会のフリースタイル学校対抗戦は、花咲徳栄(埼玉)が4階級を制して3年ぶりの優勝した(右写真)。2月の関東高校選抜大会で5階級を制覇した花咲徳栄としては、今大会の4階級制覇は1つ王者を失った格好。55kgの杉山雄介は3位に後退し、60kgは対抗戦のポイントが0点と中量級が失速したが、8点差で霞ヶ浦を振り切った。

■決勝までは霞ヶ浦と五分の結果

 第1日終了時点で、昨年優勝の霞ヶ浦と4階級ずつで決勝へ進出。学校対抗戦優勝の行方はまったく読めない状況だったが、重量級の戦力が両チームの勝負を分けた。今年の花咲徳栄は重量級が鉄板のチーム。84kgの吉岡靖典主将、96kgの山本康稀
(左下写真の上)、120kgの山本晋也は危なげなく優勝。そこに50kgの中村倫也(左下写真の下)が加わり4階級を制した。

 優勝を決めた高坂拓也監督は「勝たなくちゃいけない大会だった」ときっぱり。関東高校選抜大会の学校対抗戦では霞ヶ浦に快勝したことで、3月の全国高校選抜大会で初の全国制覇が現実味を帯びていたが、東日本大震災の影響で中止へ。全国一は夏までお預けとなった。

■震災後は練習できず、全国制覇に焦り

 大震災により、埼玉県にある花咲徳栄の練習環境も多大な被害をこうむった。高坂監督が「練習場の建物にひびが入り、3月は使用禁止。安全確認がとれた4月以降、今度は節電の徹底で通常より1時間ほど練習を早く切り上げなくてはならなかった」と振り返るように、全国の頂点を見据えるどころか、日々の練習環境の確保に奔走する日々が続いた。

 最近は通常練習ができているものの、全国高校選抜大会が中止となり、4月のJOC杯ジュニアオリンピックに出なかった選手は、5月上旬の県予選まで3か月ほど実践から遠ざかってしまった。今大会調子が悪かったのは、JOC杯で試合がなかった選手ばかりだったようだ。 しかし、「選抜はできなかったけど、あの時は試合をやっている場合じゃなかったから、生徒たちはみんな理解している。震災後は練習ができず、かなり休みがありましたので、各自リフレッシュしているようです」(高坂監督)と、チームの雰囲気は通常に戻りつつある。

 3年前は関東高校選抜、関東高校大会と優勝したもののインターハイでは決勝で霞ヶ浦に敗退した苦い過去がある。今季は重量級で大きな差をつけているものの、高坂監督は「やっぱり、霞ヶ浦は強い…。甘くはみてはダメ」と、ライバルに2連勝したおごりは見せず、インターハイでの決着に気を引き締めていた。



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