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【特集】タックル&ローリング! 吹田スタイル貫いて有終V…男子59kg級・田辺雄史(大阪・豊中十一)
【2011年6月13日】

(文=増渕由気子、撮影=矢吹建夫)




 男子59kg級は田辺雄史(大阪・豊中十一)が快勝続きで大会連覇を達成。決勝全体でクリンチ戦が頻発した中、田辺は4−0、5−2とテクニカルポイントを連続で奪ってストレートの快勝。男子の優秀選手に贈られる水戸市長賞を受賞した。

 1、2回戦は秒殺のテクニカルフォール勝ちを決め、準々決勝と決勝では失点したが、全試合2−0のストレートで快勝。指導する吹田市民教室の伊藤順次監督は「吹田の真髄、タックルここにありという試合をしてくれた」と手放しで喜んだ。
(右写真=田辺と伊藤監督)

 田辺も「僕は吹田で習ったタックルとローリングだけしかできないし、それだけで勝ちました」と、クラブ独特のスタイルを貫いての優勝だと振り返る。その攻撃レスリングに頼ったきっかけは、昨年11月のつまずきだ。

 昨年のこの大会の53kg級を制した田辺は、同年から始まった全国中学選抜選手権(11月)に満を持して59kg級にエントリーしたが、準々決勝でストレート負け。中学チャンピオンの輝きが半減した状態で冬を過ごすことになった。伊藤順次監督は、「選抜で負けた後、2010年は地方の小さな大会で、しばらく連敗が続いてしまったんです」と告白する。地方大会では減量をせずに出場するため、59kg級に出場することがしばしば。「59kg級だと、水野真斗(当時京都・網野中)らと同階級になり、優勝の結果は出しにくかったようです」。田辺にとって精神的に試練の時期時だった。

 その時に田辺が決めたことは、シンプルな攻撃を続ける吹田スタイルを貫くことだった。この開き直りが功を奏して、「今年に入ってから試合で負けてない」(伊藤監督)。今大会も、ぶっちぎりの内容で大会連覇を決めて見せた。気になる進路は田辺本人が「まだ未定」と話す。全中2連覇の肩書きがあれば、スカウトも引く手あまたになるだろう。「次の目標は高校に入って、団体と個人戦で優勝したいです」と高校生活の理想を語った。



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