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【特集】ひざの手術から驚異的な回復! 高橋侑希と同門の川瀬克祥も60s級で初優勝
【2011年8月5日】

(文=池田安佑美、撮影=保高幸子)




 軽量級はいなべ旋風が吹き荒れた。55s級の高橋侑希が優勝を決めた直後、60s級の川瀬克祥も浅瀬凱斗(東京・自由ヶ丘学園)との決勝戦を2−1の接戦で制して初優勝。個人戦は、いなべ総合が2階級を制し、唯一、複数階級で優勝した。(右写真=左から川瀬、藤波監督、高橋)

 高橋が小学生から頭角を現していたのに比べ、川瀬は中学1年生からレスリングを始めた。全国中学選手権大会での入賞経験はなく、全中2連覇でMVPに輝き高校1年でチャンピオンの座についた高橋に比べると対照的な選手だった。川瀬は「高橋は、よきライバル」と常に意識してきた存在だ。

■優勝を決めたあと、廊下で号泣!

 藤波俊一監督は、「高橋の優勝は、3連覇の重圧から開放されて『ホッ』とした感じ。川瀬の優勝は『うれしい』という感覚だった。川瀬は2回戦、3回戦と負けそうな試合をしていたんです」と振り返る。快勝したのは、準決勝でフォールした試合だけで、残りは2−1のフルピリオドにもつれたり、クリンチ勝負で決めたりと薄氷の勝利だった。だが、藤波監督は、「川瀬には高橋にはない魅力があるんです。とても器用な選手で、どんな相手にも対応できるんです」と強みを話した。

 優勝した瞬間、大きくガッツポーズをし、マットを降りた直後は廊下で嗚咽(おえつ)をもらして号泣。その涙には、川瀬にしか分からない辛さがあった。「左ひざを怪我して、昨年手術をして半年間棒に振ったんです」。

 ライバルの高橋にまた後れを取ってしまう−。焦った時期もあったが、根気よくリハビリを行い、調子を100パーセントに戻してきた。

 3年でやっと同門のライバル、高橋と同じ表彰台のてっぺんに立った川瀬。「ちょっと、(高橋に)追いついたかな」と満面の笑みを浮かべた。
(左写真=優勝を決めガッツポーズの川瀬)



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