【特集】和田貴広コーチが2敗を喫した浜口京子へエール



 世界V5の浜口京子(ジャパンビバレッジ)の敗戦を見た日本協会の和田貴広・男子専任コーチは「勝ち続けると、どうしてもチャレンジャーとしての気持ちを忘れてしまう。チャレンジャーの気持ちをもってアテネ五輪へ挑むには、かえってよかった、と考えてほしい」と、浜口へメッセージを送った。

 和田コーチは。1995年の世界選手権で疑惑の判定で2位になったあと、96年冬の欧州3大会で連続優勝。4月のアジア選手権でも勝ち、「五輪での金メダル確実」とも言われてアトランタ五輪を迎えた。

 しかし周囲の期待と裏腹に、五輪へ向けて自分を見失っていったと振り返る。心のどこかでチャレンジャーという気持ちになり切れず、「和田は勝つもの」という声を聞くたびに「負けてはいけない」という気持ちが強くなり、オーバーワークとなり、少し休むと、それを取り返そうとしてまたオーバーワークへ。五輪では、金メダルを期待する重圧に硬くなってしまい、「いつもの力を出せなかった」という。「リラックスしてこそ、力が出るものなのに…」。

 勝ち続けることで、「欠点を見落としているケースもあるはず」とも指摘する。「欠点があるはずなのに、それが見えないことも不安になった」とも。五輪での結果は4位だった。「あの時(五輪前の大会)、1敗でもしていたら、どう変わっていたか分からない」。勝ち続けることだけがすべてではないと、2敗の後遺症が心配される浜口へエールを送った。



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