【特集】地元開催・加ト吉杯女子ワールドカップにかける


 48kg級:坂本真喜子(愛知・中京女大付高)「世界選手権ではメダルが取れず悔しかったですけど、オリンピック出場権だけは獲得できてよかったです。いま落ちついて考えると、ウクライナのメルニク選手に負けたのは自分にとってプラスの負け。次は絶対に上を目指そうと思います。

 自分の課題は、ムダなタックルを減らすことと、かぶりを覚えること。タックルは入るまでが問題で、距離が遠すぎるのバレると言われます。もっと間合いを詰めて、フェイントを入れたりしないといけませんね。ワールドカップではチームの足を引っ張らないようにがんばります」


 48kg級:山本美憂(PUREBRED)「久しぶりの大舞台。緊張というより、とっても楽しみでワクワクしています。世界選手権での日本選手の活躍は、見ていてうれしかったですけど、48kg級は特にレベルが高いと思いました。どの選手と対戦しても、簡単には勝てないでしょうね。

 復帰して1年、いろいろなことがあって、とも早く、アッという間でした。もう今年も終わっちゃうよという感じですね。充実していて、課題をもってやってきたので気持ちも体も仕上がってきつつあると思います。

 ワールドカップでは、ガンガン攻めていきたいです。それが自分のペースですから。オリンピックは父(郁栄氏=1972年ミュンヘン・オリンピック出場)が出場した大会ですし、自分の名前もミュンヘンからとって付けられたものです。生まれる前から自分はオリンピックとつながっていて、出ないといけないような感じです。アテネ・オリンピックまでは、今からでも1日1日大事にして気持ちを引き締めていきたいと思います」


 51kg級:伊調千春(中京女大)「世界チャンピオンになったので、ワールドカップでは1試合も負けたくありません。世界選手権では全試合完封、無失点でしたが、他の国もどんどんレベルアップしていて、来年のオリンピックは今のままの状態では勝てないだろうと思います。

 ワールドカップが終わったら48kg級に下げてオリンピックを狙いますが、それまでに少しずつ体をしぼって、普段から51kgぐらいにしておくのがベスト。今も減量はきついですが、48kg級は未知の世界という感じです。軽いウエイトでスクワットをしたり、走り込みをして、6分間ずっと低い姿勢で動き続けられるようにしたいと思います。

 48kg級で優勝したメルニク選手には、世界ジュニア選手権で勝っているので自信はあります。ワールドカップがアテネに向けてのいいスタートになれるようがんばります」


 51kg級:服部担子(中京女大)「代表に選ばれて、うれしいというよりは勝たなくてはならないという気持ちで緊張しています。いい刺激を与えてもらったので、ここで勝ってステップにして、今後に繋げていきたいと思います。去年のワールドカップでは活躍できず、自分だけ悔しい思いをしましたが、今年はぜひとも団体戦優勝に貢献したいです。

 片足タックルに磨きがかかり、得意技になってきました。ワールドカップ後、12月の全日本選手権は51kg級で出場します。自分は来年以降の世界選手権出場と次の2008年北京オリンピックを狙っていこうと思っています」
 


 55kg級:吉田沙保里(中京女大)「ワールドカップは初出場ですが、先輩たちにいろいろ聞くと、『盛り上がるよ』と言われるので、ワクワクドキドキです。世界選手権は2連覇することができホットしていますが、ワールドカップはアメリカが急遽参戦することになりキツい試合が続くでしょうね。今回の世界選手権では対戦しなかった選手とも戦うことになるので、一戦一戦大事に戦っていきたいと思います。

 自分の課題は筋力アップ、体重アップ。手さばきもうまくなりたいし、がぶりも磨きたいと思います。今回の世界選手権でも研究されていましたが、その前に聖子さんにも研究されて得意の両足タックルに入れなかったので、片足タックルの練習をしていったら、それがうまく通じました。アテネ・オリンピックまで全勝で行きるようがんばります」


 59kg級:山本聖子(ジャパンビバレッジ)「どの試合も全力で戦います。ワールドカップは数ある大会の一つに過ぎませんが、いつもよりチームがまとまります。総当たり制で参加選手全員とあたるので、自分のレスリングを伸ばしたいと思います。世界選手権では自分の階級ではない59kg級での出場となりましたが、55kg級の試合はよく見ることができました。あの沙保里がタックルで倒し切れず、せる試合が多かったので、アメリカや中国などレベルが一気にあがってきているなと思います。

 自分が55kg級で出場していても、優勝する自信があります。沙保里のようにせる選
手がいるので、もっとがんばろうという気になれるのはありがたいですが、私が勝ってオリンピックに行きます。伊調さんたちを見て、美憂と2人であらためて「私たちもがんばって、いっしょにアテネに行こう」と誓いました」


 59kg級:岩間怜那(リプレ)「出番があったら、一生懸命試合がしたいです。ワールドカップは団体戦なので、負けたら後にひびく。自分の勝敗がみんなにもかかわることなので、緊張します。山本選手と代表決定試合をしたときは、絶対倒してやるとがんばっていましたが、負けてしまって、一時はもう無理かなぁと諦めかけていました。でも、世界選手権では自分の階級で、ほかの選手が金メダルをとるのを見て、クソーという気持ちが沸いてきました。

 ワールドカップが終わると、全日本選手権まで日にちがありませんが、正直まだ55kg級に落とすか、63kg級に上げるか迷っています。上の階級にして勝てるか、減量してパワーが落ちないか不安です」


 63kg級:伊調馨(中京女大)「世界選手権が終わって全然休んでいないので、ちょっと休みたいですが、ワールドカップまでがんばります。世界選手権は、初出場の去年のより戦いやすかったですね。外国選手慣れしてきたのと、筋肉が少しずつ太くなってきたせいでしょうか。決勝戦で戦ったアメリカのサラ選手は、去年の世界選手権でフォール勝ちしましたが、今年のスウェーデンでの国際大会で負けていて。今回勝ってようやく2勝1敗。ワールドカップでは油断せず、確実に守って点数を取られないようにして、倒しておきたいと思います。

 体重がなかなか増えず、決勝戦の頃はほかの選手は67〜68kgぐらいはあるでしょうけど、逆に自分は減ってしまって62kgぐらいでしたから、体重を増やして、筋肉をつけないといけないと思います。普段はせめて65kgぐらい、欲を言えば67kgぐらいになりたいですね。技術、練習量、体力には自信がありますが、技術が止められたときにはパワーでいくしかないので、もっとパワーをつけたいと思います。足も太くしたいですね」


 63kg級:正田絢子(東洋大)「今はとても緊張しています。自分がケガしている間にまわりが強くなって、復帰してもどこまでやれるか不安です。

 オリンピックが決まったときはちょうど肩の手術をした直後だったので、手術してよかったと思っていましたが、その後、ヒザをケガしてしまい、今もスパーリングは制限されています。ケガが完治していないので、隠してやるマイナスは大きい。それでも階級を変更しないでオリンピックを狙うことができるので、自分はラッキーだと思います。でも、日本で勝つ方が大変です」


 67kg級:斉藤紀江(ジャパンビバレッジ)「世界選手権は、去年よりずっと体調がよくて体が動いていたし、緊張もしていなかったんですが、まだまだ甘い部分があったと思います。練習が足りませんでした。ワールドカップ後は72kg級に上げてオリンピックに挑戦しますが、今まだ67kg級。自分の階級なので全試合出場したいと思います。世界チャンピオンも倒して、72kg級で出場する全日本選手権に続けたいと思います」


 67kg級:坂本襟(リプレ)「ワールドカップは一生懸命やるだけです。外国人選手と戦うことは楽しみでもありますが、怖い面もあり半々です。ワールドカップ後の階級ですが、72kg級は全く頭にありません。このまま67kg級でやろうか、63kg級に落としてオリンピックに挑戦しようかまだ迷っています。ギリギリまで決心がつかないでしょう」


 72kg級:浜口京子(ジャパンビバレッジ)「世界選手権が終わって完全休養が取れました。取材が続きましたが、みなさんとお話させていただいていい気分転換もできたと思います。また十日町の合宿所で、大自然の中でリフレッシュもできました。ここに来ると、やっぱり落ちつきますね。この1年、自分でも気持ちが強くなったと思います。世界選手権でも勝つことができ、この1年間やってきたことが間違っていなかったと自信も持てました。

 日本チームはみんなしっかりしていて自立しているので、個々にいい練習ができています。キャプテンといわれても、私が特にすることはありません。気持ちを一つにして戦えると思います。例年なら世界選手権が終わってゆっくりできますが、今年はもう1回モチベーションを上げなくてはならないので、また始まりという感じ。ワールドカップは、世界選手権がもう一回くるようなもの。もっと上を目指して、もっと差をつけて勝ちたい。

 圧倒的な強さが欲しい。自分自身はここが正念場だというきもちで、全部フォール勝ちします。オリンピックのことは、まだ全く考えていないので、頭の中はワールドカップでいっぱいで、72kg級に出場してくる全員がライバルです。超人ハルクのようなズバ抜けた強さ、ケタ外れの強さをイメージして練習しています」


 鈴木光監督(ジャパンビバレッジ)「ワールドカップは過去2大会同様、今回も2kgオーバー計量で行われるため、もともと軽い選手が多い日本チームには不利で厳しいです。それでも3連覇を目指します。これまでは海外派遣ということもあり、控えの選手なしで戦ってきましたが、今回は地元開催ということで12名の選手をそろえることができました。勝負どころや相手との相性、経験を見て、メンバーを変えていきたいと思いますが、全試合きっちりした形でとりに行かないといけないので、ずっとベンチを温めることになる選手が出る可能性もあります。

 選手起用のプランはコーチとも話し合っています。アメリカ、ロシア、中国との試合はベストの布陣となりますが、カナダ、ドイツも弱くないので余裕を持った布陣はできないでしょう。油断禁物です。団体戦ですが、レスリングはあくまでも個人競技。自分は負けてもいいなんていう他力本願な選手がいたら勝てません。一人一人が確実に自分のレスリングをすること。2日間で6戦とハードスケジュールになりますが、優勝はもちろん、全勝する意識で監督、コーチ、選手一体となってがんばります」




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