米国専務理事がIOCロゲ会長へ階級削減反対の書簡提出




 米国レスリング協会のリッチ・ベンダー専務理事は、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長に対し、レスリングの階級削減案およびフリースタイルとグレコローマンの一本化要求に反対する書簡を送った。

 ベンダー専務理事は、レスリングは人類最古のスポーツであり、1896年の近代五輪第1回大会(アテネ)から実施されている由緒あるスポーツであり、国際レスリング連盟(FILA)には現在144か国が加盟、2001年にニューヨークで予定されていた世界選手権(米国テロのため中止)には、アテネ五輪出場枠(344選手)の2倍の計689選手(フリー307選手、グレコ280選手、女子111選手)がエントリーする世界的にメジャーなスポーツであることを主張。グレコとフリーは完全に異なっているスタイルであり、統一することは不可能であるとの見解を示した。

 階級の削減に対しては、レスリングはIOCの進める五輪肥大化抑制に最大限の協力をしてきたことを具体的な数字を挙げている。1992年バルセロナ五輪まで、男子は計20階級あったのが、現在は14階級。出場選手数は、五輪予選を実施していなかった1988年ソウル五輪では、468選手(フリー256選手、グレコ212選手)だったのが、2004年アテネ五輪では280選手(各スタイル140選手)。フリーが116選手(−45%)、グレコが72選手(−34%)で計188選手(−40%)もの削減であることを指摘し、これほどまで出場選手の削減に協力している競技はないと主張している。

 さらに、アテネ五輪では各階級の出場選手数が20選手(280選手÷14階級)であるにのに対し、同じ格闘技の柔道やボクシングは約26選手など、ほかにも具体的な数字を示し、レスリングを今以上縮小することの理不尽さを指摘。FILAのミラン・エルセガン会長がIOC理事を退いたあとIOC理事会にレスリング関係者はおらず、著しい不利益を受けていることを訴えている。

 IOCプログラム委員会は、五輪の肥大化抑制の一環として男子2スタイルの統一を提案。同理事会は2004年アテネ五輪でのこれの実施は見送ったものの、その条件として階級削減を要求してきた。

 なおFILA副会長でもある日本協会の福田富昭会長は今月30日にロゲ会長と会い、スタイルの統一と階級削減の反対を訴える。



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