試合時間・勝敗の決定 各ピリオドの勝者の決定
試合の流れ・技のポイント 計量・組み合わせ抽選

1、試合時間・勝敗の決定

 試合時間は2分間3ピリオドで、ピリオド間のインターバルは30秒。各ピリオドごとに勝者が決定され、2つのピリオドを勝った選手が試合の勝者となる。したがって、片方の選手が第1、2ピリオドを連取した場合は、第3ピリオドを行なうことなく試合の勝者が決まる。

 男子グレコローマンの場合は、スタンド・レスリングとグラウンド・レスリングによって試合が進行する。各ピリオドの最初の1分間がスタンド・レスリング、続く1分間がグラウンド・レスリングで、30秒で攻守が交代する(後述)。

 ただし、フオール(相手の両肩をマットに1秒間つけること)が決まった場合は、どんなシチュエーションであってもフォールした選手が試合の勝者となる。また、試合を通じて警告(コーション)を計3度受けた場合も、その段階で3度の警告を受けた選手が警告失格で負けとなる。

第1〜3ピリオドごとのスコアと勝者が掲示される最新鋭の電光掲示板。


相手の両肩をマットにつけるフォール。ピリオドスコアで負けていても、フォールを決めれば試合の勝者になれる。

2、各ピリオドの勝者の決定


 フォールがない場合、各ピリオドはポイントの多寡による判定等によって勝敗が決まる。ポイントは技ごとに1点、2点、3点、5点と分かれており、3審判(レフェリー、ジャッジ、チャーマン)のうち2審判の同意で決定される。

 ★フォールあるいは3度の警告のないまま2分間のピリオドが終了した場合、ポイントの多い選手がそのピリオドの勝者となる。ただし、下記の場合はテクニカルフォールとなり、その段階でピリオドが終了する。

 (1)6点差がついた時。

 (2)5点の技を決めた時。

《例》0−4で負けていた選手が、5点技を決めた場合、その段階でピリオドの勝者となれる。

 (3)3点の技を2度決めた時。

《例》3点技を決めて3−0としながら、3−7と逆転された。しかし、もう1度3点技を決めた場合、スコアは6−7であるが、この段階で勝者となれる。


 ★同点で2分間のピリオドが終了した場合、下記の方法によって勝者を決める。

 (1)1点以上を獲得しての同点の場合は、ビッグポイントのある方が勝者となる。

《例》Aは3点技を1度決めて3点を獲得し、Bは1点技を3度決めて3点を獲得 ⇒ ビッグポイントのあるAが勝者

 (2)1点以上を獲得しての同点で、ビッグポイントが同じ場合は、相手に警告を与えてのポイントのある選手が勝者。

《例》1−1で試合が終了。Aの1点は、相手の反則(例えばグレコローマンで足を使った等)による1点、Bの1点は普通に技をかけての1点 ⇒ 相手に警告を与えたAが勝者

 (3)1点以上を獲得しての同点で、ビッグポイント、警告によるポイント数が同じ場合は、最後のポイントを取った方が勝者

《例》A、Bともに1点技を2度かけて2−2でピリオドが終了。警告はともに0。最後にポイントを取った選手はA ⇒ Aが勝者


 ★0−0で2分間のピリオドが終了した場合、下記の方法で勝者を決める(フリースタイルのみ。グレコローマンではありえないケース=後述)

 (1)コイントスによって、勝った選手が攻撃権を獲得。相手の右足か左足を指定し、片足へのタックル状態から試合を再開
(写真右)。ポイントを取った選手がピリオドの勝者となる。

 (2)コイントスの敗者、すなわち防御をしいられる選手は、両手の手のひらを相手の背中に乗せなくてはならず、押したりして開始前に防御してはならない。

 (3)コイントスの勝者、すなわち攻撃側の選手が30秒の間にポイントを取ることができなかった場合は、警告が与えられ、防御側の選手が1点を獲得し、ピリオドの勝者となる。


3、試合の流れ&技のポイント

【フリースタイル(男女)、グレコローマン共通のルール】

 ★あらゆる打撃技、関節技、かみつき、指を折り曲げる等は反則。

 ★直径9メートルの円形試合場から脚を踏み出した場合は、1点を失う
(写真右の赤の選手)。明らかに逃げて飛び出した場合は「場外逃避」という警告(コーション)が課せられたうえで、相手選手に1点が入る。逆に、場外へ押し出すことのみを目的とした攻撃(相撲の突き・押しのような技)を仕掛けた場合は、仕掛けた側の反則となり、その技は無効となるか、相手選手に1点が入る場合がある。

 ★場外へ飛び出さなくとも、相手の攻撃から逃げ回っている場合には、「技術回避」という警告(コーション)が課せられたうえで、相手選手に1点が入る。

 ★出血を伴わない負傷で、タイムのアクションで相手の機先を制して試合を止めた場合は、相手選手に1点が入る。コンタクトレンズを落とした場合も同様。

 ★警告は1試合に3度課せられると、警告失格となって負けとなる。

 (注)警告には、上記のほか、グレコローマンで脚を使って技を防いだ場合、グレコローマンのグラウンド・レスリングにおいて攻撃権のある30秒間にポイントが取れなかった場合、試合再開時のフライングなどがある。

【フリースタイル(男女)】

 フリースタイル(男女)は、全身のどこを攻め、どこを使って守ってもいいルール。がっちり構えた相手を倒す(テークダウン)のは難しく、相手を動かしてバランスを崩し、タックルで倒すのが一般的。まず相手のバックを取って動きを制し(1ポイント)、ここから次の技へ移行するのが一般的。

 単に飛び込むだけのタックルでは、相手にかわされて、逆にバックを取られて1ポイントを失ってしまう。

      《構え〜タックル》

腰が立ってしまうと簡単にタックルを受けてしまう。低く構えて足へのタックルを狙うのが基本。
片足を取って相手を倒しにかかる。(片足タックル)

両足を取って相手を倒しにかかる。(両足タックル、または正面タックル。胴を狙ったものは胴タックル)

↓  ↓  ↓  ↓

相手のタックルを受け止めたが(「がぶり」の体勢)、これだけでは相手の動きを制していても無得点。背後に回って1点。 相手のバックに回り、両手をマットにつかせる。しかし両手両ひざの3点をマットにつけない限りポイントにはならない。   相手の両手とひざをマットにつけた状態。これで1ポイント。ここからグラウンドへの攻撃に移る。

《グラウンド技》

 相手からテークダウンを奪い、バックを取ったあとは、相手の両肩をマットにつけるフォールを狙う。しかし、がっちりと防御する相手をひっくり返して両肩をマットにつけることは容易ではない。そこで、まずポイントを加えて試合を優位に運ぶのが一般的。相手の両肩をマットに90度以内に向かせれば2ポイントになる。この状態を「ニアフォール」と言い、5秒以上続けると、1点が加わる。

 この場合、攻撃側の肩がマットに向いても基本的にポイントを失うことはないが、両肩がマットにべっとりとついたり、相手選手に多少でも押さえ込むアクションがあった場合には、2点を失ってしまう。
 【ローリング】フリースタイルのポピュラーなグラウンド技。相手の腰をロックし、横へ1回転。相手の両肩はマットへ向くので「2点」を獲得する。ただし、相手の上体が起きている場合には「1点」。ガッツレンチとも言う。  【アンクルホールド】相手の足首を交差させて固めることで相手の下半身の動きを封じ、自分の体を回転させることで相手の体も回転し、両肩がマットに向いてしまう。「2点」獲得だが、相手の上体が起きている場合には「1点」。

 【またさき】相手の股(こ)関節を両足ではさんでロックし、背骨をきしませるようにして上体をひっくり返す。相手は激痛のあまり、体を返してしまって両肩がマットに向いてしまう。フォールへの移行も可能。  【トルコ刈り】ニアフォールの体勢へ持ち込んだあと、腹ばいになろうとする相手の内またから足をかける。相手は腹ばいになることができず、じっくりとフォールを狙うことができる。

 【横崩し】相手の両肩をマットに向ければ、どんな体勢・技であっても2点が入る。写真左は、相手の腕を体の前で交差させてつかむことで体をひっくり返す。写真右は、相手の左腕と右足首を固めることで動きを封じ、ニアフォールを奪っている(自らの両肩もマットに向いているが、攻撃しているので失点にはならない)。
 グラウンド技のバリエーションは数多くある。


 【タックル返し】タックルに来た相手をタイミングよく後方へ投げ飛ばす。3点(場合によっては2点)となる。わずかでも静止してしまうと、3−2、2−2等、両者の得点になる。  【レッグホールド】タックル返しは瞬時にかける技だが、これはタックルに来た相手をしっかり受け止めた時、あるいはグラウンドでもつれた時、相手の股(こ)関節に手をまわしてロックし、相手を後方へ投げる。2点を獲得でき、うまくいけば写真右のようにフォールも狙える。

    《フォール技》

 【フォール】相手の両肩をマットにつければ、試合の勝者になれる。写真左から、一般的に「腕取り固め」「けさ固め」(柔道の技の名称)「上四方固め」(同)「横四方固め」(同)などと呼ばれるが、すべて「フォール」。

    《ビッグポイント技》

 【足技】柔道や相撲に見られる脚をかけて倒す技も有効。うまく背中から直せば3点になる。

 【投げ技】柔道着のようにつかむところはないが、うまく投げれば3点を取れる。
 【タックル】タックルへ入り、持ち上げて、背中からマットに落とせば3点、または5点のビッグポイントとなる。

 【外無双】がぶって交差させた手で相手の腰を崩し、横へ倒す。うまく決まれば3点。失敗してもバックへ回れることも多い。


【グレコローマン】

 グレコローマンは上半身の攻防のみで戦うスタイル。脚を使って攻撃したり、守ったりすることは禁止されている。脚を取られる心配がないため、フリースタイルのように低く構える必要はないが、テークダウンを取るには、より難しさがある。胴へのタックルや、投げ技で活路を開くのが一般的。投げ技がきれいに決まれば、そのままフォールへ移行できる。

《構え〜スタンドでの攻撃》

 上半身のみの攻防になるので、胸と胸を合わせた体勢になるのが一般的。ここからタックルや投げ技を狙う。稀に写真右のようなフリースタイルと変わらぬ体勢となることもある。

  ↓ ↓ ↓ ↓

 【胴タックル】下半身への攻撃は禁止されているので、胴へのタックルで攻める。

  
 【がぶり返し】がぶった体勢から相手を後方へ投げる。腕のパワーが必要だが、脚を取られる心配がないので、フリースタイルに比べて思い切って踏み込むことができる。

【投げ技】左から「一本背負い」「首投げ」「巻き投げ」「腰投げ」。きちんと決まれば3点だが、体勢が崩れると1点の場合もある。柔道着のようにつかむところがないので、タイミングよく投げなければならない。写真右の「そり投げ」は正面から組み合い、後方へそり投げる。自滅の危険も大きい。
《グラウンド攻撃》

 フリースタイルと同じで、相手のバックを取ったあとは、グラウンドで攻撃し、ポイントを重ねるのが一般的。脚を攻撃できないので、フリースタイルの「アンクルホールド」「またさき」などは使えない。
 【ローリング】フリースタイルでも見られる技だが、グレコローマンでは脚を取られる心配がないので、仕掛ける時に相手の体の下に脚を入れることができる。  【投げ技】相手を持ち上げて後方へ投げる。写真左が「バック投げ」、右が「俵返し」。3点、大きく投げれば5点を獲得できる。

《脚を使っての攻撃または防御、脚への攻撃をしてしまった場合》

 グレコローマンは上半身の攻防による戦いであるので、脚(腰から下)を使っての攻撃・防御、あるいは脚への攻撃は禁止されている。

 脚を使って攻撃してしまった場合、あるいは下半身へ攻撃を仕掛けてしまった場合は、故意でない限り、その技は無効となり、試合が元の体勢から再開される。

 しかし脚を使って防御した場合は、警告(コーション)を課せられ、1点または2点が相手選手に与えられる。グラウンドの防御の場合は、もう1度その体勢から再開される。警告は1試合に3度課せられると、警告失格となる。

 《グラウンド・レスリング》

 各ピリオドとも、試合開始から1分が経過した時点で試合が止められ、クロス・ボディ・ロック(俵返しをする時の組み方)によるグラウンド・レスリングの攻防が行なわれる。

 スコアが同点の場合は、コイントスを行い、勝った選手が先に攻撃権を得る。ポイント差がある場合には、リードしている選手が先に攻撃権を得る。30秒で攻守が交代する。
 リードしている選手、またはコイントスで勝った選手(写真左の赤)が先に攻撃。30秒で攻守交替。
  フォールが決まれば、その段階で試合終了。6点差がついたり、5点技が決まったり、3点技が2度決まるなどテクニカルフォールの要件を満たせば、そのピリオドの勝者になれる。攻撃権のある選手が30秒間でポイントを取れなかった場合は警告(コーション)が課せられ、相手選手に1点が与えられる。

 30秒×2(攻防)でフォール、またはテクニカルフォールが決まらなかった場合は、ポイントの多寡でそのピリオドの勝者が決まる。同点の場合は、ビッグポイントの数、コーションの数、ラストポイントの順(同点の場合のピリオドの勝者決定方法参照)でそのピリオドの勝者が決まる。
 《例》0−0でグラウンドレスリングへ突入。先に攻撃権を得たA選手は30秒間でポイントを獲得できなかった(A選手に警告が課せられ、B選手に1点)。次に攻撃側となったB選手も30秒間でポイントを獲得できなかった(B選手に警告が課せられ、A選手に1点) ⇒ ポイントは1−1。ラストポイントを取ったA選手がこのピリオドの勝者。
 《グラウンド・レスリングの攻防を行なわない場合》

 最初の1分間のスタンド・レスリングの攻防で、A選手がB選手をニアフォールの体勢に追い込んだ場合は、1分が経過した段階でも試合をストップすることなく、試合を続行する。

 B選手がフォールを免れた段階で残り時間が30秒以上あった場合、ポイントをリードしている選手の攻撃権ので30秒間のグラウンド・レスリングが行なわれる。30秒経過した段階で、まだ試合またはピリオドの勝者が決まっていない場合は、残りの時間はスタンド・レスリングで試合が行なわれる。(B選手の攻撃権のグラウンド・レスリングは行なわれない)


 ※グラウンド・レスリングの紛らわしいルール ⇒ クリック

4、計量・組み合わせ抽選


 【階 級】

 階級は部門別に下記の通り定められている。

 《男子》

シニア=55kg級(下限50kg)、60kg級、66kg級、74kg級、84kg級、96kg級、120kg級(下限96kg)

  
⇒20歳以上。ジュニアの選手も出場できるが、18歳の選手は医事証明と保護者の同意書が必要。

ジュニア=50kg級(下限46kg)、55kg級、60kg級、66kg級、74kg級、84kg級、96kg級、120kg級(下限96kg)

  
⇒18〜20歳。17歳の選手は医事証明により出場可。

カデット=42kg級(下限39kg)、46kg級、50kg級、54kg級、58kg級、63kg級、69kg級、76kg級、85kg級、100kg級(下限85kg)

  
⇒16〜17歳。15歳の選手は医事証明により出場可。

 《女子》

シニア=48kg級(下限44kg)、51kg級、55kg級、59kg級、63kg級、67kg級、72kg級(下限67kg)

  ⇒20歳以上。17・18歳の選手は医事証明と保護者の同意書が必要。

ジュニア=43kg級(下限40kg)、46kg級、50kg級、54kg級、58kg級、63kg級、68kg級、72kg級(下限68kg級)

   
⇒18〜20歳。17歳の選手は医事証明により出場可。

カデット=38kg級(下限36kg)、40kg級、43kg級、46kg級、49kg級、52kg級、56kg級、60kg級、65kg級、70kg級(下限65kg)

  
⇒16〜17歳。15歳の選手は医事証明により出場可。


 【計 量】

 計量は原則として試合前日の18時から20時の間に、大会組織委員会が指定する30分間で行なわれる。この30分の間ならば何回計量器に乗ってもいい。

 選手は試合で使用するシングレット(ユニホーム)姿と裸足で臨み、着衣分は認められない。体重が落ちないからといって全裸で計量することは認められない。

 世界選手権や大陸選手権、全日本選手権などは規定どおりの階級で実施するが、選手の健康上の問題により、2kgオーバーで計量する大会も少なくない(例・ポーランド国際大会、ドイツ国際大会)。55kg級に出場する選手は、57kgまで落とせばいい。


 【組み合わせ抽選】

 計量をパスした選手からくじを引き、組み合わせが決まる。シード制はなし。決勝戦へ進んだ選手に負けた選手によって敗者復活戦が争われ、3位が決まる。

 ※組み合わせと、敗者復活戦のやり方 ⇒ クリック(pdfファイル)

 ただし、国内においては、トーナメント方式、シード制など特別ルールが採用されることが多い。


 【順 位】

 決勝戦で勝った選手が優勝、負けた選手が2位。3位決定戦は2試合行なわれ、勝った2選手がともに3位。4位はなく、負けた2選手がともに5位。6位はなし。

 7位以下は、戦った試合の勝ち点の合計の多寡で決まる。勝ち点は以下の通り。

   5点=フォール勝ち、警告勝ち、棄権勝ちなど

   4点=第1、2ピリオドともテクニカルフォールで勝った時

   3点=2−1、2−0などの判定勝ち。

   1点=判定負けの中でポイントを取った場合

   0点=判定負けの中でポイントを取れなかった場合