スペシャルオリンピックス採用の夢へ向けて…ダウン症のある人のレスリング大会「第1回早稲田カップ」開催される【2009年7月6日】
1996年アトランタ五輪銅メダリストであり、早大コーチの太田拓弥さんの夢が、力強い第一歩を踏み出した。ダウン症のある人・自閉スペクトラム症を対象とした初めてのレスリング大会「第1回早稲田カップ」が7月5日、早大レスリング場で行われ、3クラブから29選手がエントリーして熱戦が展開された(右写真=参加選手と父母による記念撮影)。
太田さんは4年前、ダウン症児者のある人・自閉スペクトラム症を相手にした「ワクワクレスリング教室」を「ワセダクラブ」の中に開講。大楠ジュニア(神奈川)、京都八幡クラブ(京都)が共鳴。今年3月には横須賀での少年大会に、初めてダウン症児の部がもうけられ、ワセダクラブと大楠ジュニアが参加した。ダウン症のある人・自閉スペクトラム症だけの大会は今回が初めてになる。
太田代表はスペシャルオリンピックス(知的障害者のオリンピック)での採用を目指しており、そのためにも国内での基盤づくりに力を入れてきた。「大会を開くことで、選手間の仲間意識が高まり、あきらめない気持ちが出てくる。レスリングのレベルも上がってきている」と総括。大会スタートを機に、さらなる発展を願った。
これまでの活動が認められ、独立行政法人「福祉医療機構スポーツ障害者基金」から年間約500万円の助成金が認められたという。さらに米国ワシントンにあるスペシャルオリンピックスの本部への3人分の渡航費用も認められそうとのこと。財政基盤の確立という大きな援軍を得て、「活動の輪を広げていきたい」と目を輝かせた(左写真=試合を嫌がる選手に、対戦相手が「やろうよ」と呼びかける)。
また、太田代表のゼミの恩師が東京都の石原慎太郎知事の側近にいてパイプがあり、「もし2016年に東京でオリンピックが開催されるなら、デモンストレーションをやらせてもらってアピールしたい」と話す。国際レスリング連盟(FILA)に働きかけたい気持ちもあるが、「そのためには日本レスリング協会に認めてもらうことが必要。基盤をしっかりつくってからです」と言う(関連記事)。
11月に予定されている横須賀市民大会にも、ダウン症のある人・自閉スペクトラム症を対象とした部門が実施される予定。
【各階級成績】
▼小学1年の部 [1]野口皓ノ介(京都八幡クラブ)
▼小学生軽量級 [1]五十嵐悠太(ワセダクラブ)、[2]久保田歩帆(ワセダクラブ)、[3]森勇樹(ワセダクラブ)
▼小学生中量級 [1]久保田一吹(ワセダクラブ)、[2]吉原允(ワセダクラブ)、[3]西村奈桜(京都八幡クラブ)
▼中学生軽量級 [1]伊藤直大(ワセダクラブ)、[2]吉岡侑亮(ワセダクラブ)、[3]井上真一(ワセダクラブ)
▼中学生中量級 [1]関将大(ワセダクラブ)、[2]手塚彗介(大楠ジュニア)、[3]山下泰人(京都八幡クラブ)
▼高校生以上軽量級 [1]安部健太(ワセダクラブ)、[2]西村隆広(京都八幡クラブ)、[3]松川恭大(京都八幡クラブ)
▼高校生以上中量級 [1]保坂晃弘(京都八幡クラブ)、[2]蓮沼淳(ワセダクラブ)、[3]山本哲裕(京都八幡クラブ)
▼高校生以上重量級 [1]平井朋希(京都八幡クラブ)、[2]名切祐介(京都八幡クラブ)、[3]土橋剛(大楠ジュニア)
《優秀選手賞》加藤大輝(大楠ジュニア)、関将大(ワセダクラブ)、平井朋希(京都八幡クラブ)