吉村祥子・全日本コーチ(エステティックTBC)がFILA殿堂入り【2009年3月13日】



 国際レスリング連盟(FILA)は今年選出の殿堂入りのメンバーに、日本の吉村祥子・日本協会女子強化委員会コーチ(エステティックTBC)を選出した。日本人の殿堂入りは7人目で、女子では2007年に選出された浦野弥生さんに続いて2人目。世界の女子選手としては、クリスティン・ノードハーゲン(カナダ)、浦野、鐘秀娥、劉東風(ともに中国)に続き5人目となる。

 吉村コーチは、代々木クラブの選手として日本の女子レスリングの黎明期(初め)からレスリングに取り組み、1987年の第1回世界女子選手権44kg級で銅メダルを獲得。89年の第2回大会で日本人初の世界チャンピオンに輝いた(右写真:同じく世界選手権初優勝のアレクサンダー・カレリンとともに)。その後、90・93〜95年にも優勝し、世界選手権10度の出場で9個のメダル(金5・銀1・銅3)を取った。

 2004年のアテネ五輪出場を目指したが、夢かなわずに選手活動を引退。コーチとして代々木クラブなどで指導するかたわら、ジュニア・カデットの日本選抜チームのコーチとして海外遠征に同行するなどしていた。現在は女子強化委員会のメンバーで、今月3日からカデット選抜チームのコーチとしてスウェーデンに遠征していた。

 受賞式は9月の世界選手権(デンマーク・ヘルニング)の期間中に行われる。これまでの日本人のFILA殿堂入りは下記の通り(敬称略)

 2004年 高田裕司=1976年モントリオール五輪優勝、世界選手権4度優勝(フリースタイル52kg級)
 2005年 小幡(旧姓上武)洋次郎=1964年東京・1968年メキシコ両五輪優勝(フリースタイル・バンタム級)
 2006年 笹原正三=1952年メルボルン五輪優勝、世界選手権1度優勝(フリースタイル・フェザー級)
 2007年 金子正明=1968年メキシコ五輪優勝、世界選手権2度優勝(フリースタイル・フェザー級)
       浦野弥生=世界選手権6度優勝(65kg級ほか)
 2008年 富山英明=1984年ロサンゼルス五輪優勝、世界選手権2度優勝(フリースタイル57kg級)


 吉村コーチは12日、女子カデット選抜チームのスウェーデン遠征から帰国した(左写真)。成田空港で、その喜びを聞いた。

 ――女子で5人目となる殿堂入り、おめでとうございます。

 「ありがとうございます。(吉報は)遠征中に協会から連絡が入って知りました。とにかく光栄です。今まで、レスリングを通していろいろな経験をさせていただきました。周りの皆様に感謝、感謝です」

 ――競技を始めた時、殿堂入りすることなど想像できましたか

 「競技を始めた時は、第1号の世界チャンピオンを目指し、(女子が)オリンピック競技に採用されると、オリンピックを目指していました。競技を始めるときは、殿堂入りすることなんて想像もしていませんでした」

 ――すでに殿堂入りしている方は、世界V6のノードハーゲン氏や浦野弥生氏など、そうそうたるメンバーが並んでいます。その中に世界V5の吉村コーチ入ります。どんな気分ですか?

 「私はよく『何回優勝してましたっけ? 4回? 5回でしたっけ?』と聞かれるんです(笑)。けれど、この1回の差は私の中でとても大きいと思うんですよね。6回優勝している選手、浦野さんなどは本当にすごいと思っています。なので、(殿堂入りは)夢のようです」

――殿堂入りを果たした今後、レスリングの世界でどのような活躍を目指しますか?

 「私はたくさんの方々にお世話になりました。その方々に(直接)恩返しはできないと思いますので、自分が(たくさんの方々から)教わったことを、下の代に伝えていくことが最大の恩返しだと思っています」


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