【特集】女子W杯出場選手が米ノース・ミシガン大の選手相手に外国選手対策を練習【2009年3月10日】



 2月26日から3月7日、米国のノース・ミシガン大学の選手6人が来日。東京・ナショナルトレーニングセンター(NTC)で東京の大学や社会人のチームとともに汗を流した(右写真)。日本選手の中には今月21〜22日に中国・太原で行われる女子ワールドカップに出場する選手もいて、思わぬところで外国選手相手の練習を積むことができ、本番へ向けて気持ちを新たにした。

 ノース・ミシガン大学は北京五輪の米国コーチだった米国在住の八田忠朗氏(故八田一朗会長の次男)の仲介で、一昨年、昨年も来日している。その時は日本協会からの依頼を受けて中京女大が引き受けていた。今年は日本協会が引き受け、東京にある女子チームに声をかけ、合同練習を実施した。参加したのは自衛隊、ジャパンビバレッジ、日大、早大、大東大、東洋大、東海大、東京・安部学院高、代々木クラブ、JOCアカデミー。

■違ったタイプの選手と練習することで欠点が見えてくる…藤川健治コーチ

 日本は島国であるため、なかなか他国と練習する機会が少ない。最近では1〜2年に1度、世界合宿を実施しているものの、陸続きの欧州各国が頻繁に数ヶ国が集まっての合同合宿を実施しているのに比べれば、その機会は少ないのが現実だ。

 今回来日しているのは10代後半の若い選手だが、いずれも世界ジュニア選手権やパンアメリカン・カデット選手権などでメダルを取っている有望選手。米国ナショナルチームの選手ではなくとも、やはり外国選手との練習は緊張感が出て、マンネリの練習を防ぐ効果がある。

 合同練習(左写真)を指導した自衛隊の藤川健治コーチは「日本選手同士の練習だけでは、長所や短所は分からない。違ったタイプの選手と練習することで短所がよく分かる。組み合った時に弱いなど、それぞれの選手が課題を見つけられたと思う」と、その成果を話す。

 来日している選手はだれもがパワーファイターだそうで、あえて組み合う練習をさせたという。組み合いに強い選手であっても、外国選手が相手になるとなぜか組み合うことを怖がっている選手もいるという。「組み合っても大丈夫、ということを実践の中で知ってもらいたい」と話す。意識改革は実践に限るといったところ。

■佐野明日香、松川知華子、三村冬子はワールドカップ前の絶好の練習へ

 W杯に出場する72kg級の佐野明日香(自衛隊)は、柔道からレスリングに転向して日が浅いこともあり、外国選手との練習や試合は少ない。まして自衛隊には重量級の女子選手がいなく、パワーファイター相手の練習が足りないのが現状だ。「新鮮な気持ちで練習できました。今まで闘ったことのないタイプの選手ばかりで最初は戸惑いましたが、慣れてきてタックルが取れるようになりました」と、格好の外国選手対策になったもよう。

 昨年のW杯は、米国戦でチームスコア3−3のあと、自分の黒星でチームの敗戦が決まり悔しい思いが残っている。雪辱を期しているとともに、今年は浜口京子選手(ジャパンビバレッジ)が世界選手権を休養することが確実となり、出場がぐっと近づいて燃えていた。「2月に沖縄で合宿し、今回の合同練習。貴重な経験になりました。いい形でワールドカップに臨めそうです」と言う。

 55kg級の松川知華子(ジャパンビバレッジ=右写真)も「ワールドカップ前に外国選手と練習ができ、いい練習ができました」と話す。これまでアジア選手権やゴールデンGPで優勝の経験はあるものの、外国選手との対戦はやはり緊張するもの。自分の技を巻いて返すような技を持っている選手がいて、「日本選手相手では経験できない練習ができた。技のひとつひとつを、もっとていねいにやっていかないとならない」と気を引き締めていた。

 W杯のメンバーとしては48kg級の三村冬子(日大)も参加し、対外国選手との練習をこなした。

 ノース・ミシガン大のシャニン・ジャイルスピー監督は「若手選手と年の上の選手とが一緒に練習していることが印象的だった」と、10代中盤から20代中盤の選手が集まって練習する日本のやり方に驚いた様子。「日本は世界一のチーム。非常にいい練習ができた。今回連れてきたのは、いずれも将来性のある選手。世界選手権で日本の選手と闘えることを期待していてください」と話していた。


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