男子グレコローマンの全日本チームが帰国【2009年3月4日】



 ブルガリアとハンガリーに遠征していた男子グレコローマンの全日本チームが3月3日、成田着のオーストリア航空で帰国した。遠征中に参加した「ニコラ・ペトロフ国際大会」(ブルガリア)では55s級の長谷川恒平(福一漁業)が金メダル、74s級の鶴巻宰(自衛隊)が銅メダル、120s級の中村淳志(カンサイ)が銅メダルを獲得。「ハンガリー・グランプリ」では長谷川が2大会連続優勝、60s級の谷岡泰幸(自衛隊)が海外遠征初参加で3位に入賞し、2大会でのべ5個のメダルを獲得した。

 2004年からのグレコローマン全日本チームはベテラン選手の活躍が著しく、五輪を経験している豊田雅俊(警視庁)や笹本睦(ALSOK綜合警備保障)、松本慎吾(一宮運輸)らが中心だった。だが昨年12月の天皇杯全日本選手権の結果、全日本チームも大幅に若返った。その中で長谷川らを中心に5つのメダルを獲得。元木康年監督(自衛隊)も「世界に通用する選手が出てきた」と、新生全日本チームに手ごたえを感じたようだ。

 元木監督は入賞者以外の選手に対しても「佐藤亮太(60s級=日体大)や藤村義(66s級=自衛隊)が世界で通用すると思った」と評価した。また、ルール変更によってスタンド戦が1分30秒になり、持久力に自信がある日本チームはスタンドで積極的な攻めを見せ、タックルも以前より効果的に出せたようだ。

■フリースタイルの金メダルラッシュが刺激材料

 2012年ロンドン五輪へ向けてのエースとなるべく頭角を現したのが、55s級の長谷川(右写真)だ。2大会連続で金メダルを獲得。笑顔でがい旋帰国した。昨年もアジア選手権で3位となったが、その後の五輪予選ではグラウンドの投げを食らって初戦敗退。今回は得意のスタンドで優位に進めたのが勝因につながった。課題だったグラウンドのディフェンスも克服し、グラウンドの失点は「ハンガリー・グランプリ」の準決勝の1試合のみ。あとは無失点に抑えた。

 2大会連続金メダルの引き金になったのが、一足先に欧州遠征に出発したフリースタイル陣の活躍だった。55s級の湯元進一(自衛隊)、66s級の米満達弘(拓大)が「ヤシャ・ドク国際大会」(トルコ)で金メダルを獲得。「コーチ陣からもプレッシャーをかけられ、刺激になった」と、フリースタイル陣のメダルラッシュが金メダルへのモチベーションとなったことを明らかにした。

 アジア選手権(5月・タイ)への抱負を聞くと、長谷川から笑顔が消えた。「アジア選手権に出る選手の方が強いですから」。今回の遠征での金メダルは、イランや韓国など強豪国抜きで勝ち取ったもの。“本当の戦いはこれから”と自らに言い聞かせているようだった。

 一方、「ハンガリー・グランプリ」で初のメダルを手に入れた谷岡は、「今回は全日本2位でのメダル、次は全日本チャンピオンとしてメダルを取ります」と宣言。6月の明治乳業杯全日本選抜選手権大会での逆転代表へ手ごたえをつかんだようだ。

(文・撮影=増渕由気子)


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