どうなる? フリースタイルのクリンチ攻撃権の決め方【2009年2月19日】



 フリースタイルのクリンチの方法が混迷している。1月31日の国際レスリング連盟(FILA)の理事会で決まった修正ルールは、主に「チャレンジ」(選手・コーチによるビデオチェック要求)とグレコローマンの試合方式であり、フリースタイルのクリンチに関しては何の通達もなされていない。「ダン・コロフ国際大会」の前日のルール説明会でも、FILA理事で欧州連盟のチェノ・チェノフ会長(ブルガリア)は日本陣営の質問に対し、「変更なし」と回答した。

 いざ試合が始まると、従来のやり方のほか、“新システム”が出現。“新システム”とは、最初に0−0で終わった時は「赤」の選手にクリンチの攻撃権があり、その次に0−0で終わった時は「青」の選手に攻撃権が与えられる。3度目の0−0になった場合のみ、レフェリーではなく赤の選手がボールを引くやり方。

 審判団の間でも何がどうなっているのか分からず、そのうちに“新システム”が幅を聞かせて、最終日は完全に“新システム”での実施となった。

 グレコローマンは、修正ルールの中に0−0でスタンド戦が終わった場合の対処法が明記してあり、最初は赤の攻撃、次は青の攻撃、3度目はレフェリーによるボールピックアップ。しかしフリースタイルに関しては、修正ルール条文のどこを見ても、「赤→青→赤がボールを引く」というやり方は明記されていない。

 ヤンチョ・コスタディノフ審判長(ブルガリア=FILA審判インストラクター)に聞くと、「文書での通達はないが、FILAの会議で決まり、実施することになっている」との回答。これまでにも、2005年5月のグレコローマンのグラウンド攻防のルール採用や、2008年3月のボールピックアップの採用など、FILAの通達以前に大会で実施されていたが、グレコローマンの変更のみが通達されるのもおかしな話。

 テストルールなら、大会前にあった審判会議と監督会議で「テストルールを採用」と通達するべきだろう。腑(ふ)に落ちないルール改正だ。


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