【特集】メダル以上に国際大会での課題が多く見つかったことが収穫…フリー60kg級・前田翔吾(日体大)【2009年2月15日】



 初の全日本チーム入りとなったフリースタイル60kg級の前田翔吾(日体大)が銅メダルを獲得。前週の「ヤシャ・ドク国際大会」(トルコ)の初戦敗退の屈辱をはね返した(左写真=3位決定戦に勝った前田)

 「銅メダルを取れてホッとしています」と言う一方、「銅メダルで喜んでいいのかどうか分かりませんが…」とも。過程のひとつに結果に喜んでいられないという姿勢で、「メダルを取ったことよりも、初めての国際大会で課題が多く見つかったことが収穫です」と言う。「負けたのはわずかの差です。でも、そのわずかの差がとてつもない大きなものでもあることを知りました。日本にいては経験できなかったこと。まだ足りないことばかりということを知りました」と反省の言葉が続いた。

 具体的に感じたことは、脚をさわることはできてもポイントにつなげられないことが多かったこと。外国選手は体が柔らかかったり、粘りがあったりして、日本ではポイントを取れる体勢になっても、そこから先が攻められないことが多かったという。

 それがスタミナのロスにつながっていった。「スタミナでは勝てるだろう」と思っていたが、相手の戦術の前に思った通りにはいかなかった。「自分はパワーがないので、極めるところをしっかり極めなければならないことも知りました。勝負どころの見極めとか、勉強することばかりでした」。

 自らの至らなさを指摘する言葉とは裏腹に、3位決定戦で見せた逆転劇は見事だった。第1ピリオドを取られ、第2ピリオドも前半で0−2。このままズルズルといってもおかしくない流れだったが、粘って5−2と逆転。第3ピリオドは明らかにスタミナの差があり、4−0と振り切った。「正直言って、弱気になりかけたんです。でも、銅メダルと5位とでは大きく違います。ヤシャ・ドク国際大会が初戦敗退だったので、せめてメダルは持って帰らないと」という思いが、踏ん張りにつながったという。

 試合以外でも、稲葉泰弘、湯元進一、米満達弘といった全日本経験者の試合に臨む前の行動や気持ちの高め方などを見ることで、初の全日本チームの遠征で学ぶことは多かった。「試合へ向けての気持ちのつくり方や集中力、学びたいと思います」という。

 日本へ帰れば、高塚紀行や湯元健一といった強豪が手ぐすねひいて待っている。「受ける気持ち? それとも、まだチャレンジャー?」という問いに、「全日本チャンピオンになった以上、もう2位、3位では満足できません」ときっぱり。不動の全日本王者を目指した闘いが続く。


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