重量級の復権を目指すグレコローマン120kg級の中村淳志（カンサイ）が、１勝１敗の内容ながら３位に入賞。冬の遠征でのグレコローマンの最重量級として初めてメダルを獲得する殊勲を挙げた（右写真＝元木康年監督と中村）。フリースタイルで世界学生選手権に出場し、そこで１勝を挙げたことはあるが、シニアのグレコローマンでは、国際大会でまだ勝ったことがないという。「１勝することが目標だったんです」。試合数は少なかったものの、最低限度の目標を達成しての表彰台に気分はよさそうで、「自信になります」ときっぱり。
初戦で地元選手に見事なそり投げを受けてしまい、フォール負けを喫した。「スタンドではまずまず闘えた。四つに組んだら、あっという間に投げられた」。日本では経験したことのない技を受けて精神的な落ち込みも心配されたが、気持ちを立て直して３位決定戦へ。
そこでは「絶対に四つには組まない」と自分に言い聞かせて臨み、激しい当たりで相手を圧倒。グラウンドでもガッツレンチを決め、最後は相手を負傷棄権に追い込んだ。元々痛めていたものなのかどうかは不明だが、試合後の足首は膨れ上がっており、中村の強烈な当たりで足をくじいた可能性もある。
「技が何もないですから、当たり負けしないことを第一に考えています」。まず気迫、という姿勢がファイトの随所に出ていた銅メダル獲得。「技がないのは今後の課題ですが、まず当たり負けしないこと。そうすれば勝機が出てくると思います」とのことで、練習や試合で外国選手の当たりの強さを体感し、今後につなげていきたいという（左写真＝スタンド戦で負けなかった中村）。全日本チームの冬の遠征には、重量級の選手は派遣されることが少なかった。派遣されても結果を残せず、合同合宿では外国選手から「おまえと練習しても意味がないから」とばかりに手合わせを拒否されたこともあった。しかし、96kg級の加藤賢三（自衛隊）が世界５位に入り、120kg級の新庄寛和（自衛隊）がアジア３位に入るなどして、最近は重量級の存在が見直されている。
「刺激になっています。多くの方が『重量級も行かせよう』と働きかけてくれたと聞いています。そんな人達の気持ちに応えることができたと思います」と、先輩達の努力を受け継ぎ、さらに伸ばしたいという気持ちが十分。
「ハンガリーの大会ででも頑張りたい」。そこで好成績を残してこそ本物。いっそうの活躍が期待される。