14日からブルガリアで新ルール初の大会…全日本チームが参加【2009年2月14日】



 【バルナ(ブルガリア)発】2月14日からブルガリア・バルナで男子グレコローンマンの「ニコラ・ペトロフ国際大会」、男子フリースタイルと女子の「ダン・コロフ国際大会」が行われる。1月31日の国際レスリング連盟(FILA)理事会で決定した新ルールが採用される最初の大会となり、注目される重要な大会となる(英文による修正ルール)。

 13日には審判・各国代表合同のルール説明会が行われ、FILAの理事であるチェノ・チェノフ氏(ブルガリア=欧州レスリング連盟会長)が審判および各国代表に新ルールを説明(右写真)。日本からは芦田隆治審判員(大阪・大阪工芸高教)、藤本賢一審判員(奈良・二階堂高教)、元木康年グレコローマン監督(自衛隊)が参加。チームに同行しているブルガリア語が堪能な筒井穣さん(セルビア在住=日本サンボ連盟副審判員長)の通訳のもとで細部のルールを確認した。

 配布された修正ルール(フランス語とブルガリア語)は2月12日付けの最新のルール。10日に各国に通達された6日付けのルールとも違っている部分がある。これが今後のすべてのFILA主催大会で実施されるルールとなり、各大陸選手権を経て5月30日まで実施。その後、修正されて正式決定され、2012年ロンドン五輪まで続けるという。

■大きな修正は「審判によるビデオチェックなし」と「グレコローマンの試合システム」

 今回導入される大きな修正点は、「審判が下す判定にビデオは用いず、選手サイドからの要求によってのみビデオをチェックする」と、「グレコローマンの試合システム」の2つ。

 前者については、審判によるビデオチェックは実施しない代わりに、各選手が判定に疑義を持った場合、1試合に1度、ビデオチェックを要求する権利が与えられることになったた。コーチ(セコンド)が白いカードを掲げてマットチェアマンにアピール。「チャレンジ」とネーミングされている(注=アメリカンフットボールやテニスで同様のルールがあり、「チャレンジ」または「コーチ・チャレンジ」と呼ばれている。これにならったものと思われる)。

 選手サイドからのアピールが通って判定が覆った場合は、もう1度ビデオチェックを要求する権利が与えられる。しかし、判定が覆らなかった場合は、相手に1点が入り、その後ビデオチェックを要求する権利がなくなる。

 グレコローマンの試合方式は、従来の「スタンド戦1分、グラウンドの攻防30秒」が、「スタンド戦1分30秒、グラウンド戦は一方の攻撃によってスタートし30秒」に変更された。グラウンドの攻撃は、従来のクロス・ボディ・ロックかノーマールなパーテール・ポジションかを選択できる。

 グラウンドの攻撃権に関しては、ポイントをリードしている選手に攻撃権が与えられるほか、スタンド戦が0−0に終わった場合、第3ピリオドが0−0に終わった場合など、それぞれのパターンによって攻撃の選手が決まる。従来のようにボールピックアップによって攻撃権が決まるのは、第3ピリオドに起こりうる1ケースのみとなった。

 ただ、グラウンドで30秒を守り切った選手に1点が与えられる場合と、与えられない場合とがあり、一般の観客にとって分かりづらい一面となる部分は残った(左写真=ルール説明を聞く各国選手団代表)

 フリースタイルは先週の「ヤシャ・ドク国際大会」(トルコ)で、0−0で2分間が終わった場合、闘っている選手がボールをピックアップするやり方が取られたが、チェノフ氏はこのルールを否定。「フリースタイルは変更なし」と話した。

(取材・文=樋口郁夫)


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