9個の金メダルを持って女子ジュニア選抜チームがカナダから帰国【2009年2月8日】



 カナダに遠征していた女子のジュニア選抜チーム(高校2・3年生=右写真)が2月7日、成田着のエアカナダで帰国した。カルガリーの悪天候で飛行機の出発が遅れ、経由地のサンフランシスコで予定の飛行機に乗り換えることができずに本隊の帰国が一日ずれ込むアクシデントがあったが(吉村祥子コーチ=エステティックTBC=と鈴木美織選手=東京・安部学院=は予定通り6日に帰国)、多くの選手がメダルを取り、実りある遠征を終えた。

 カナダ遠征は日本の女子チームにとって、シニア・ジュニア・カデットを問わず初めての試みだったが、1月31日(日本時間2月1日)に行われた「ノードハーゲン・ジュニア・クラシック」では7階級で優勝、シニア選手も出場した翌日「カルガリー・オープン」でも48kg級の長沼美香(岐阜・岐阜工)と55kg級の木下茜(埼玉・埼玉栄)の2選手が優勝した。

 成富利弘(東京・安部学院高教)は「予定参加だったアメリカやウクライナが欠場になってしまったが、試合の内容は全員が頑張れて、とてもよかった」と話し、充実した遠征だったようだ。選手13人と大所帯での遠征になったが、それぞれが5〜6試合ずつ世界の舞台を踏めたことで、いい経験になったという。

■平野遥香が北京五輪金メダリストに健闘

 「カルガリー・オープン」では北京五輪48kg級金メダリストのキャロル・ヒュン(カナダ)が51kg級に参戦。ヒュンと対戦した日本人選手はいずれも敗北したが、準決勝で対戦した平野遥香(東京・安部学院)は第2ピリオドを無失点に抑え、クリンチに持ち込むなど健闘した。「ヒュンもちょっと焦ったようで、会場もすごく沸いたんですよ」と吉村コーチも若手の底上げを実感した。

 同コーチが注目したのは、67kg級の飯島千晶(東京・安部学院)。「ノードハーゲン・ジュニア・クラシック」では優勝。「カルガリー・オープン」でも3位入賞を果たした。日本の軽量級は男女問わず層が厚いが、問題は重量級だ。「飯島はもっと体を大きくできる。このまま順調に伸びてほしい」と話し、「もう少し闘争心を持たないと」と今後の課題を挙げた。

 今大会はカナダ在住の浦野弥生さん(世界V6=国際レスリング連盟殿堂入り)が食事から交通の手配までサポートしてくれた。成富監督、吉村コーチとも「浦野さんに本当にお世話になった」とに声をそろえ、アットホームな大会だったそうだ。浦野氏の陰のサポートが日本のメダルラッシュにつながったといっても過言ではない。だが、孤独な海外遠征や完全アウエーの大会も多いはず。吉村コーチは「そういう時こそ、闘争心が必要になってくる」と、技術や体力よりも精神面の強化がカギとなると話した(左写真=大会前にカナダ選手と練習)

 初の試みとなったカナダ遠征。吉村コーチは「ジュニアだけの大会とシニアが参戦する大会が同時に出られるので、選手にとってジュニア(同世代)での自分の位置と、世界のレベルを同時に知ることができる魅力的な遠征」と話し、有意義な遠征となった。来年の実施は未定だが、行ってみる価値はあるか?

(文=増渕由気子、文中の写真提供=吉村祥子コーチ)


写真提供=Monique Smith氏(現地カメラマン)

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