【特集】“常勝軍団”復活! 霞ヶ浦・大沢友博監督がきっぱりと四冠宣言【2009年2月4日】



 1月31日〜2月1日に東京・駒沢体育館で行われた関東高校選抜選手権大会。学校対抗戦は霞ヶ浦(茨城)が2年ぶり24度目の優勝を果たし、個人戦でも5階級を制覇。高校レスリング界に不滅の金字塔を打ち立てた強豪が完全復活を遂げた(右写真)
 
 霞ヶ浦は2007年夏のインターハイから昨年6月の関東大会まで苦戦が続き、全国・地域大会を4大会連続で優勝から見放された。ちょうど1年間、優勝がなかったわけで、大きな屈辱を味わった。だが名将・大沢友博監督は、関東大会での屈辱からたった2ヶ月でチームを立て直し、8月のインターハイでは、決勝で創部4年目にして関東選抜大会と関東大会で優勝した花咲徳栄(埼玉)を4−3で撃破。高校の頂点に返り咲いた。

 その激闘から5ヶ月。卒業で黄金世代が抜けた花咲徳栄に比べると、霞ヶ浦は、50kg級のインターハイ・国体王者の森下史崇、インターハイ団体MVPの岩渕尚紀(60kg級)、全国選抜選手権84kg級王者の菊池崚など、昨年の主要メンバーが多く残っている。

■1階級アップを難なくこなしたインターハイ王者・森下史崇

 駒が足りないと頭を抱えていた2008年から一転、今年の霞ヶ浦の布陣は磐石だ。大沢監督も「今大会は優勝できると思っていました」と自信を持って臨んだ。2回戦で昨年の優勝高の花咲徳栄と対戦することになったが、落ち着いた試合運びが続き5−2で勝利。決勝では関東学園大付(群馬)に7−0と圧勝で優勝。大沢監督の口からは「今年は全部獲ります」と、グランドスラム宣言が飛び出した。

 霞ヶ浦の新エースは、55kg級に階級アップした森下(左写真=青)だ。父で元全日本学生王者の敏清さんは「55kg級にしてはまだ体が小さいでしょう」と心配そうに見守ったが、昨年12月には天皇杯全日本選手権にも出場し、全日本王者に輝いた湯元進一(自衛隊)からポイントを奪うなど成長の証を見せている。全日本王者を苦戦させたのだから、同世代では無敵の存在だ。団体戦の4試合、個人戦の5試合ともに無失点で優勝。「55kg級の森下は安定してる」と大沢監督の信頼も厚い。

 もっとも、本番に強いタイプのようで、練習では合格点がつかないこともあるというから、まだ克服すべきことは多い。海外タイトルを期待する大沢監督は、「グラウンドのローリングを修正しないとならない。海外選手になら、足を触らせてしまう」と、練習から試合までの安定性とグラウンド対応を課題に挙げた。

■軽中量級で勝負が決まる!? 120kg級まではもつれない!

 重量級のエースは84kg級の菊池だ。昨年は全国選抜選手権で優勝し、6月の関東大会では同校で唯一優勝。常勝校の面子を保った。実力は十分。だが、インターハイでは優勝できず、今大会も決勝で公式戦では無敗だった細谷翔太朗(花咲徳栄)にストレートで敗れた。

 大沢監督は「団体戦で勝った相手でしたが、『個人戦が本当の闘いだよ』と伝えました。完敗でした」と無念の表情。3月の全国選抜選手権大会までの再起に期待していた。

 今大会の個人戦では74kg級までの5階級で優勝している(右写真=左から66kg級・砂川航祐、50kg級・折田誠治、55kg級・森下史崇、60kg級・岩渕尚紀、74kg級・坂本悠太)。軽量級中心に白星を重ねて勝負をかける。120kg級の前川勝利の成長も著しく、ここでの勝負となっても対応できるチーム力を持つが、大沢監督は「84kg級までに決める」とキッパリ。軽中量級に突出した選手を擁する霞ヶ浦が、グランドスラムに向けて幸先いいスタートを切った。

(文・撮影=増渕由気子)


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