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【特集】右肩の手術を乗り越え、完全復活へ…51kg級・堀内優(日大)【2010年4月5日】

(文=増渕由気子)
 

 2008年に高校生ながら全日本選手権の51kg級を制した堀内優(日大=左写真)が、右肩負傷の手術を乗り越え、ジュニアクイーンズカップのジュニア51s級で復活優勝を飾った。堀内は網野高3年の時に全日本チャンピオンとなり、“超高校級”“ポスト坂本日登美”として注目された。日大に進学直後に出場した昨年4月の全日本女子選手権でも優勝し、JOC杯も同級で優勝。昨年のアジア選手権、世界選手権、世界ジュニア選手権の出場権を手に入れていた選手だ。

 だが、右肩の脱きゅうに再三悩まされており、根本からの治療のため海外遠征をすべてキャンセル。7月に手術を行い、復帰に向けてリハビリを続けていた。「本当は昨年の世界選手権に出場してから手術をしようと思ったんですが、右肩痛のために満足な練習が積めなくて、手術の予定を早めました」。

■2009年を捨てて今年以降にかけた!

 日本女子軽量級の新星として2012年ロンドン五輪出場の期待もかかる堀内は、2009年のシーズンを棒に振って2010年にかけた。だが、「レスリングもできずないリハビリの日々。(自分の代わりに世界選手権に出場した)甲斐選手は銅メダルを獲得してしまうし…」と落ち込むことが多かった。

 甲斐は昨年12月の天皇杯全日本選手権で、五輪で2度銀メダルを獲得している伊調千春選手(当時ALSOK綜合警備保障)を撃破して優勝。「波に乗ってしまったよう見えた」と、不安な気持ちにかられることもあったそうだ。

 昨年11月ごろからマットに上がって、今年1月には完全に練習を開始。周囲からはあたたかい励ましの言葉が多くかけられた。「応援してくれた人たちに、復帰して優勝する姿を見せることが恩返しになると思った」と、その応援をモチベーションに練習を積んできた。

■51kg級としての最後のシーズンにかける!

 3試合闘って全試合ストレート勝ちと、上々の復帰戦となったが、右肩を気にするそぶりを見せたり、タックルに入ったあとの処理がもたついたりした。試合から約1年遠ざかったていたため、試合勘の戻り具合はイマイチだった。「緊張してしまって硬くなってしまった。試合勘もまだ完全には戻っていないです」。

 それでも、4月24〜25日のJOC杯ジュニアオリンピック(神奈川・横浜文化体育館=女子は24日のみ)と、5月1〜3日の全日本選抜選手権大会(東京・代々木競技場第2体育館=51kg級は1日)は、背水の陣で挑む。「もう、後がないですから。気合入れてやらないと」−。

 昨年、3つの国際大会の出場権をふいにしたため、今年こそ世界ジュニア選手権と世界選手権のタイトルを狙いに行く腹積もり。「甲斐さんは(昨年のメダルや千春選手に勝ったことで)自信があると思う。それに負けないように、しっかりと練習したい」と気合いを入れる。

 右肩の状態は「痛みは全くないです」と、完全復活をアピール。JOC杯と全日本選抜選手権の課題は、試合勘を戻すことと気持ちだ。五輪出場を目指すため、階級変更も視野にいれている。今の階級にエントリーするのは今季が最後になる可能性が高い。「今年の目標は51s級で勝つこと」と、51s級の“ラストシーズン”に想いを込めた。


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 ★2009年4月6日: 【全日本女子優勝選手】51kg級・堀内優(日大)
 ★2008年12月22日: 【全日本選手権優勝選手】女子51kg級・堀内優(京都・網野高)

 

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